目的との違いを意識

今泉氏は目標の設定に際して、目的との違いを意識することを提言する。

今泉 大人でも目的と目標を混同しがちです。目的は企業における理念、思いのようなもの。目標は目的が達成されるために必要な行動、つまりミッション。具体的だったり、数値化されることと考えます。

例えば企業。

今泉 目的(理念)は「社会から必要とされる企業になる」とします。利益は目的ではない。でも、企業を維持して成長するために利益が必要。だから、利益の金額や利益率などの数字が目標に掲げられる。目的と目標があいまいだと、目先のことに左右されてしまいがちです。

目標としていた初のベスト8を決めた日本。「歴史を変える」という目的が達成された瞬間だった
目標としていた初のベスト8を決めた日本。「歴史を変える」という目的が達成された瞬間だった

目標は目的達成への道しるべ。ラグビー日本代表に例えると。

今泉 目的は「歴史を変える」「日本人でも(国際舞台で)ラグビーができると証明する」。そのために「W杯でベスト8入り」が目標になる。そして、目標に到達するための手段、準備となるわけです。

E・ジョーンズ氏が率いた15年W杯から受け継がれた思いが、今回のW杯では結実した。

◆藤原秀之(ふじわら・ひでゆき)1968年(昭43)東京生まれ。大東大第一高でラグビーを始め、85年度全国選手権でWTBとして優勝。日体大に進む。卒業後の90年に桐蔭学園高で保健体育の教員、ラグビー部のコーチとなり、02年から監督。同部は本年度で5大会連続18度目の全国選手権出場に。決勝進出6回、10年度優勝時のメンバーに日本代表の松島幸太朗ら。今や「東の横綱」と呼ばれている。

◆今泉清(いまいずみ・きよし)1967年(昭42)生まれ、大分市出身。6歳でラグビーを始め、大分舞鶴高から早大に進み、主にFBとしてプレースキックなどで大学選手権2回優勝、87年度日本選手権優勝に貢献。ニュージーランド留学後、サントリー入り。95年W杯日本代表、キャップ8。01年に引退した後は早大などの指導、日刊スポーツなどでの評論・解説、講演など幅広く活躍。

(2019年11月24 日、ニッカンスポーツ・コム掲載)