「早寝早起き朝ごはん」運動は、各自治体が食育活動として推進しており、農林水産省が広報を目的として発行しているパンフレットでも、朝食をとることのメリットについてエビデンス(根拠)を示しています。

農林水産省,『「食育」ってどんないいことがあるの?~エビデンス(根拠)に基づいて分かったこと~統合版』 (令和元年10月)の表紙画面
農林水産省,『「食育」ってどんないいことがあるの?~エビデンス(根拠)に基づいて分かったこと~統合版』 (令和元年10月)の表紙画面

朝食を毎日食べるとどんな良いことがあるのでしょうか。上記パンフレットに記載している内容を抜粋します。

毎日朝食を食べると良いこと

朝食を食べる習慣は、食事の栄養バランスと関係しています
朝食を食べる習慣は、生活リズムと関係しています
朝食を食べる習慣は、心と健康と関係しています
朝食を食べる習慣は、学力・学習習慣や体力と関係しています
(参照:https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/evidence/attach/pdf/index-31.pdf

食育教室で、子どもたちにこうした朝食のメリットを話すと、「食べようと思う」「大事だと思った」などの感想があがります。これらの感想から、子どもたち自身が食べることの重要性を感じていることからも、「なぜ大切か」を伝えることはとても大事です。また、意味を知った上で朝食をとる習慣は、若年層の朝食欠食の軽減にもつながると考えられます。

若者が朝食を食べない背景

若者が朝食を欠食する理由として、「食欲がない」「時間がない」ということが様々な報告から出されています。朝食がおろそかになっているアスリートもいます。

サポートしているクラブチームでは、練習終了時間が20~21時頃になると夕食時間は21時台になることが多く、遠方から通う選手の場合は23時頃になるという回答もありました。部活動の地域移行が進む中で、選手たちが地域のスポーツクラブや各競技に特化したクラブチームへ参加することが予想されますが、同時に活動時間や生活習慣が変わることも考えられます。特に夜に活動時間が移行すれば食事時間も遅くなり、食習慣の変化にもつながります。

夕食が遅くなると、就寝までの時間が短くなります。消化が十分にできないまま寝ることになり、起床時には「食欲がない」、睡眠時間や質の低下によって朝起きられず「時間がない」として、朝食欠食という事態になりかねません。

量・質ともに十分な朝食をとるために

さらに、昼食が学校給食である中学生の場合、活動量の多いジュニアアスリートにとっては、1食分を全量食べたとしても摂取量が足りない可能性もあります。給食以外の食事でより多くの栄養を取る必要があるのです。

中学生レベルでは、練習会場までの移動のタイミングなどで補食をとる時間や機会も限られてくるでしょう。つまり、朝食のとり方が大きなカギになります。

「朝食は重要な1食」ととらえて、量・質共にしっかり食べられるようにすること、そのために夜の帰宅後からの動きを整理してできるだけ早く寝ること、早く寝ることを想定して夕食は適量に抑えてその分を別の食事(間食や朝食)で食べられるようにすることが大事です。

生活スケジュールに合わせて、「いつ・何を・どのくらい」食べることができるかを今一度振り返り、食べられるときに食べることをより意識しましょう。場合によってはスケジュールの見直しも行いながら、必要な栄養を取るための計画を立てましょう。

今回紹介するレシピは「サツマイモと砂肝のやわらかハーブソテー」です。

砂肝は高タンパク低脂質で、鉄や亜鉛などのアスリートや成長期に欠かせないミネラル類も豊富な食材です。下処理の工夫やゆっくり加熱することで柔らかく、またにんにくやローズマリーを活用することで香りよく、レモンを絞ることでさっぱりいただけます。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美