年が明け、練習試合や公式試合が盛んに開催されているようです。先日は、小学生保護者向けに「試合期」をテーマにしたセミナーを行いました。保護者だけでなく指導者にも参加いただき、たくさんの質問も寄せられ、関心の高さを感じました。

「試合前日から当日にかけての献立」や「適切な水分摂取量」に関しての質問もありましたが、具体的に実践することを考えると、選手の年齢や体の大きさ、家庭の食環境によっても1人1人変わってくるので、大勢を相手にするセミナーで回答するときは悩ましく思います。特にジュニアアスリートと成人アスリートでは、対応方法が違います。

「体が小さく筋肉量が少ない」ことを意識

例えば、エネルギー源となる糖質を蓄える食事法として「グリコーゲンローディング」がありますが、筋肉や肝臓に糖質を蓄えるので、体が小さく筋肉量の少ないジュニアアスリートは成人アスリートに比べると、蓄えることが難しくなります。水分補給に関しても同様です。発汗量はそもそも個人差がありますし、ジュニアアスリートは体水分の割合が多く、水分が抜けやすいのも特徴ですので、よりこまめに水分を補給する必要があります。

糖質や水分だけではなく、ジュニアアスリートは成人アスリートに比べて、より補給回数を多くすることが、今持っているパフォーマンスを発揮できることにつながります。試合会場に行くと保護者から離れて、選手本人で対応することが必要になります。「なぜ、こまめな補給が必要なのか」を子どもと一緒に理解して、実践できるようにしておきましょう。

成長に合わせて食べる力をつけていく

それに加えて、体の成長に合わせて食べる力をつけていくことも大切です。ここで試合当日の朝食についても考えてみましょう。

エネルギーになる栄養素は糖質、タンパク質、脂質です。試合前は、この中で最も消化が良い糖質を積極的に摂るのが良いと言われていますが、試合会場に入ってしまうと、食事や補食をとることができる機会(場所)や摂取量が限られます。そこを見越して、朝食で適度なタンパク質や脂質をとっておくことも、持続するエネルギーを摂取することになります。

緊張や疲労、個々の状況に応じて調整する

ただ、緊張していたり、試合が続いて疲労が残っていたりすると、いつもより消化する力が落ちているかもしれません。一般的には「良い」とされている食事であっても、選手のそのときの状態に合わせて摂ることが重要です。

そのためには、「普段、どのくらいの量を食べることができるのか」「どのくらいの消化力を持っているのか(何を食べるとおなかの具合が悪くなるのか)」などを知っておくよう準備しておきましょう。試合期に合わせた食事法を取り入れるだけでなく、成長も考慮しながらステップアップできるよう栄養補給をしていきたいですね。

今回紹介するレシピは、「芽キャベツの豚ロールとサトイモの和風ポトフ」です。試合の日の朝食にもおすすめです。

芽キャベツには、通常のキャベツよりもビタミンやミネラルが豊富に含まれているので少量でも栄養補給になります。サトイモは消化によい糖質を含み、豚肉からタンパク質や適度な脂質もとることができます。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美