スポーツ選手に毎食摂ってほしいものの中に、「牛乳・乳製品」があります。その理由は、牛乳・乳製品をとることで、骨づくりに必要なカルシウムを効率的にとることができるからです。

私たち栄養士の「乳製品を摂りましょうね」という言葉の裏には、「カルシウムを摂ってね」という気持ちが入っています。

牛乳で乳酸菌をとってます

しかし先日、ある高校生選手に乳製品をとれているか声をかけたところ、
「牛乳を飲んで、乳酸菌をとってます!」
「カルシウムをとるために乳酸菌飲料をいつも飲んでます!」
という言葉が返ってきて、がく然としました。

私の中では「乳製品」と「乳酸菌」は全く別のものという認識だったのですが、選手の皆さんと話をする中で、この2つの言葉の区別が難しいということに気付かされました。言われてみれば、言葉の響きとしては似ていますものね。

「乳酸菌」は整腸作用や免疫機能の維持

乳酸菌の機能としては「おなかの調子を整える」、「免疫機能の維持」がよく知られています。その他にも生活習慣病に関連する因子(血糖値、血圧、体脂肪など)の正常化やストレス・緊張の緩和、睡眠の質の向上など多くの機能性があります。

乳酸菌を含む食品や飲料を摂ることは、私たちの健康の維持・増進につながります。スポーツ選手もコンディションを整える上で、乳酸菌を含んだ食品を活用することはとても良いことです。

ただし、残念ながら「乳酸菌」をとるだけではカルシウムを摂ることはできません。乳酸菌飲料は分類上「乳製品」に含まれますが、カルシウムを効率的にとることができるかというと、そうではないのです。

乳製品と乳酸菌のカルシウム量の比較

ここに主な牛乳・乳製品の栄養価を載せるのでご覧ください。牛乳(普通牛乳、加工乳)、ヨーグルトといった「乳製品」と「乳酸菌飲料」では、カルシウムの量がこれだけ違うのです。

「カルシウムを効率的に摂取するには何を選べばいいのか」と「乳酸菌の機能性を活用するためには何を選べばいいのか」は分けて考える必要があります。特に乳酸菌飲料は、機能性をうたったが商品が多く販売されていますが、自分に必要な効果や改善したい症状に合わせて「期待できる効果効能」で選ぶことが大切です。

乳酸菌とカルシウムを含む食品とは

一方で、カルシウムと乳酸菌の両方の恩恵を一度に得ることができる食品もありますね。上の図の「乳酸菌の有無」の欄にもあるように、ヨーグルトはカルシウムも豊富で乳酸菌も含んでいます。スーパーやコンビニなどいろんな場所で入手可能ですし、活用しない手はありません。

今回紹介するレシピは「リンゴとはちみつのラッシー」です。インド料理で定番の「ラッシー」はカレーに合うだけではなく、実はタンパク質とカルシウム、そして乳酸菌をしっかり摂ることができるドリンクです。

今回は、今が旬のリンゴを加えました。リンゴに含まれる食物繊維のペクチンは“乳酸菌のエサ”となり、乳酸菌を活性化する働きがあるので、リンゴはヨーグルトと組み合わせるのに最適のフルーツです。

作り方は材料をミキサー(ハンドブレンダー)にかけるだけと、とても簡単なのでぜひ、チャレンジしてみてください。カルシウムは1人分(1杯)で148mgとれます。食事と一緒に飲むのももちろん良いですが、練習後の補食としてもおすすめです。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・久永まゆみ