牛乳を飲んだら背が伸びるって本当?

保護者からよく聞かれる質問の1つです。

まず回答としては、牛乳を飲むだけで身長が伸びることありません。身長を伸ばすためには様々な栄養素と、適度な運動、睡眠を合わせて取り組むことが重要です。

ただ、火のないところに煙は立たないように、なぜこのような疑問が出てくるのかを考えると、身長が伸びることは骨が伸びる(増える)ことであり、その骨を作るために重要なカルシウムが豊富な食品の1つとして牛乳が推奨される、ということが要因に挙げられると思います。牛乳はカルシウムの含有量が高いだけでなく吸収率も高いので、カルシウムを効率よく取り入れられる骨作りにおすすめの食品です。

日本人が不足しやすいカルシウム

カルシウムは日本人が不足しやすい栄養素の1つであり、男女ともどの世代においても目標量(推奨量)を満たせていません(図1参照)。また、牛乳・乳製品の摂取量をみると、牛乳は給食での提供がある小中学生では200g以上とれているものの、その他の世代においてはそれを満たしていません(図2参照)。

小中学生の年代であっても、成長期(12~14歳)は骨の蓄積量が多くなるため、1日のカルシウム目標量が男性1000mg、女性800mgと高くなります(図2参照)。1日の給食の牛乳1杯が主なカルシウム摂取源では、目標量の摂取が難しくなることは想像できると思います。さらに休日になると給食がないため、摂取不足はますます進んでしまう傾向もあります。

(図1)令和元年国民健康・栄養調査と日本人の食事摂取基準2020を基に作成
(図1)令和元年国民健康・栄養調査と日本人の食事摂取基準2020を基に作成
(図2)令和元年国民健康・栄養調査を基に作成
(図2)令和元年国民健康・栄養調査を基に作成

牛乳や乳製品をとる習慣を

ではどうすれば、カルシウムをとることができるのでしょうか。

牛乳・乳製品は子どもでも手軽に、そのままとることができる食品です。いつでも冷蔵庫に牛乳、ヨーグルト、チーズを常備しておき、1日2~3回は必ずとるように心がけましょう。

牛乳・乳製品とカルシウムの量
①普通牛乳200ml…220mg
②ヨーグルト(プレーン)100g…120mg
③チーズ(プロセス)20g…126mg

牛乳・乳製品以外でも、カルシウムが豊富な大豆製品や小魚類、葉物野菜を積極的に食事に取り入れましょう。

カルシウムの吸収を助ける栄養素も

カルシウムをとるだけで骨ができるわけではありません。骨作りにはカルシウムのほかに、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨への沈着を助けるビタミンK、さらに骨組みとなるタンパク質も必要であり、さらにエネルギーが不足していない、ということも重要です。

1日3回の食事では、主食・主菜・副菜をそろえたバランスよい食事と乳製品も一緒にとること、目標量が高い成長期には間食(補食)も上手に取り入れて骨を作るための準備をしましょう。骨を伸ばすことが、身長を伸ばすことになります。

進学、進級シーズンの4月は環境が変わり、忙しくなる時期で朝食もおろそかになりがちです。そんな時間がない朝に活躍する1品でバランスよく栄養がとれる「ハムたまチーズとキャベツのホットサンド」を紹介します。

ハム・卵・チーズでタンパク質がしっかりとれます。キャベツをあえるマヨネーズは、スキムミルク入りでカルシウムを強化しています。このホットサンドに牛乳をつけるとより一層、カルシウムアップとなります。朝食のほか補食にもおすすめです。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美