夏は選手も周囲も、あれほど水分補給を意識しているのに、冬はその意識が希薄になるのではないでしょうか。先日の福岡国際マラソンで日本人1位となった細谷恭平選手(黒崎播磨)は気候コンディションの影響もあり、レース終盤に脱水症状を起こしていたようです。秋から冬がシーズンの駅伝競技でも、レース中に脱水を起こしたことによってチームの順位が大きく変化することも珍しくありません。

冬は空気が乾燥し、気温も低いため発汗を感じづらくなります。コロナ禍では常にマスクをしていることで、喉の渇きも自覚しづらくなっています。水分補給は年間を通して気を付けていきたいですね。

こまめに少しずつ、風邪予防にも

喉の渇きを感じにくい冬だからこそ、こまめに少しずつ補給する習慣づけが大切です。日常生活でこまめに水分補給をすると、喉の雑菌を洗い流し、風邪予防につながります。

スポーツシーンでは夏場と同様に時間を決めて水分を補給しましょう。常温の水分を補給することで、胃腸の負担を減らすことができます。試合や1日練習の際は、お弁当に温かい汁物をつけると水分・塩分が同時に、無理なく補給できますね。

朝には温かいお茶や白湯を

また、朝一番に温かいお茶や白湯を飲んだり、朝食で汁物を摂ったりすることで就寝中に失った水分を補給することができます。防寒のためにたくさん着込んだり、暖房を高い温度に設定しすぎたりすると、気づかないうちに汗をかき、水分を失っている場合があります。過度に防寒対策をするよりも、温かい飲み物や食べ物で体を中から温め、同時に水分も補えるとよいですね。

水分はヒトの生命活動に不可欠です。寒い季節においしい鍋物や煮込み料理は、色々な食材を汁に溶け出た栄養素ごと余すことなく取り入れられます。今回紹介する「呉汁(ごじる)」は、すりつぶした大豆をみそ汁に加えた全国各地にある郷土料理です。具材や作り方は地域によって様々ですが、鹿児島の呉汁はいりこだしと麦みそで作るのがポイントです。

温かい汁で水分も栄養素もたっぷり補給してくださいね。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子