皆さんは、「アンチョビ」を食べたことがありますか? 日本ではカタクチイワシを塩漬けして加工したものを指すことが多く、パスタ料理やピザなどに入っているのをご存じの方も多いと思います。

カタクチイワシを塩漬けにした保存食

アンチョビは、発酵させたカタクチイワシをオリーブ油につけて缶詰や瓶詰にしたイタリア由来の保存食です。発酵食品独特の香りとうま味が特徴で、保存のために塩漬けされていてとても塩辛いことから、料理のトッピングとして使うと風味と塩辛さが生かせます。また、その塩気が様々な食材とマッチして料理の味を引き立ててくれるため、調味料として利用することで、いつものレシピの質がぐっと上がります。

ちなみに、似たような食材で「オイルサーディン」があります。アンチョビが加熱処理をされておらず塩辛いのに対して、オイルサーディンは頭や内臓を取ったカタクチイワシを短時間だけ塩水に漬けてから油で煮込んだものです。そのため塩辛くなく、そのまま食べることができます。

アスリートに不足しがちなビタミンB12

さて、このようなアンチョビの栄養ですが、カタクチイワシを丸ごと使用しているため、青魚の持つDHA、EPA、小魚の持つカルシウムなど多くの栄養素が含まれます。しかし、その塩辛さから大量に食べる食品ではないので、青魚や小魚を食べるのと同等の栄養素摂取は期待できません。

少量でもアンチョビを食べることで、ビタミンB12が摂れます。ビタミンB12の摂取不足は疲労や体力低下、巨赤芽球性貧血などを引き起こすことから、スポーツ選手にとって不足しないようにすることは重要です。特に、減量のために野菜中心の食事を摂っている方は、ビタミンB12不足が見られるケースがあるので要注意です。

そこで今回は、アンチョビを調味料として利用した副菜「春野菜のアンチョビソテー」を紹介します。栄養価の高い旬の春野菜を、アンチョビの風味でおいしく、たくさん食べることが出来る1品です。

春野菜としてスナップえんどうやアスパラを利用していますが、季節によって野菜を代えて楽しんでいただきたいレシピです。今回は副菜として紹介していますが、ここに肉類や魚介類を混ぜて主菜としてもOK。是非、日常の調味料に「アンチョビ」を加えてみてください。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・今村佳代子