私が指導する中学生女子バレーボールクラブ「シーガルクラブ」は1月5~7日、宮城県で行われた15歳以下のクラブチームの大会「ダイヤモンドカップ」に出場してきました。全国から集まった男女各12チームが参加し、初日がグループ戦、翌日はグループ戦の結果によるトーナメント戦を行います。グループ戦の2試合を僅差で勝利し、翌日に進みました。

バレーボール競技は「追い込み形式」と呼ばれる試合進行で、開始時間はその日の第1試合しか決まっていません。一般的には前の試合が終了してから10~15分後に次の試合が行われます。前の試合の進行状況によって、試合開始時間が前後し、その間に栄養補給と次の試合へのウォーミングアップもしなければならないという調整の難しさがあります。

出された弁当、試合の状況を見て何を食べるか

男子チームが参加していることもあり、会場で出されたお弁当はかなりのボリュームでした。試合間に自分で調整して食べるよう伝えたところ、多くの選手が主食だけ食べて次の試合にのぞみました。試合は連続しなかったものの、食べる時間が少なかったためです。

おかず類の脂質を多く含むタンパク質源は消化に時間がかかるため、次の試合までに消化が間に合わず調子を崩すことにつながります。それを理解している選手たちは、消化が早くエネルギー源となる糖質主体のご飯だけを食べた形でした。

チームの中心メンバーとなっている3年生たちは、中1の初めから毎月栄養ミーティングを受け、日々の活動の中で実践してきました。「基本の食事」や「試合の食事」で大切なことを分かっているので、自分たちで考え、行動に移す姿を見て頼もしく思っていました。

試合後は「萩の月」、お菓子も味方に

試合終了後には速やかに疲労回復をはかるため、開会式でいただいたお菓子を補食として食べることにしました。開会式ではチーム同士、お土産の交換をする場面があり、私たちがいただいたのは宮城県の「萩の月」。言わずと知れた宮城県の有名なお菓子です。

「お菓子」とひとくくりにしても、アスリートの補食としてみたときに向き、不向きがあります。その時のアスリートの状況や競技特性でも違います。

アスリートの補食として使えるお菓子は、一般的には脂質が少ないものの方が良いとされていて、糖質が多い和菓子などは「アスリートの味方」となります。だんご、まんじゅう、どらやきなどは糖質主体で消化が良く、使った分のエネルギー補給に役立ちます。「萩の月」も1個当たり、エネルギー147kcal で炭水化物(糖質)が23.8gとれるものでした。

もちろん、バランスの良い食事を、好き嫌いなく十分な量をとっていることが前提で、その上で場面に応じた補食の種類や摂り方があるということです。「お菓子は食べるが、食事は好き嫌いばかりで食べない」「お菓子でおなか一杯にして食事は食べない」というのはいけません。一番大切なのは、「毎日の食事」ということです。

帰る前、選手たちに「帰宅したら、この数日に少なかった食材を意識して食べるように」と伝えると、うなずいていました。残り少ない中学時代、3年生は遠征を通してコート内外での力をさらに身に付けたと思います。

今回は「とろとろミルクもち黒蜜きな粉がけ」を紹介します。1月も終わりになり、冷蔵庫にお餅が残っていませんか? 今回も少しの量ですが、牛乳を使ったレシピです。

細かくさいの目に切ったお餅を牛乳と一緒にレンジで温め、スプーンでぐるぐるかき混ぜると、一体化してとろとろになります。そこに植物性タンパク質のきな粉と糖質の塊である黒蜜という「テッパン」の組み合わせです。

お餅の大きさは適当で大丈夫。牛乳と一緒にレンジで温め、ぐるぐる混ぜるととろとろになります
お餅の大きさは適当で大丈夫。牛乳と一緒にレンジで温め、ぐるぐる混ぜるととろとろになります

冷めると山梨県の有名な和菓子「信玄餅」のようになります。消化が良いので、練習前の補食や夜食としてもおすすめです。

まずは、ジュニアのうちに毎日の食事をしっかり食べることを身につけましょう。その上で、場面に応じてお菓子を上手に使うことでパフォーマンスアップにつながります。

管理栄養士・月野和美砂