先日、あるジュニアバレーボールの指導者からセミナーの相談がありました。聞けば、今年久しぶりの合宿で選手たちにビュッフェ形式の食事をとらせたところ、その食事の量と内容に絶句したというのです。送られてきた選手の朝食画像は、隙間だらけのお皿に少しの料理がのっているだけのものでした。
その施設の食堂は、私の指導するチームも利用したことがあり、品数は多く、生野菜もご当地食材を使ったメニューもあります。内容は申し分ないのに、選手たちがうまく利用できていないのです。その指導者は「合宿で丸1日バレーボールの練習をするのに、この内容と量で足りるわけがない」と、子どもやその親に教育をしなければと痛感したそうです。
思春期前から大切なエネルギー摂取
思春期になると、女子は容姿に意識が向きます。すると痩せることが正しいとばかりに食べなくなることがあります。
トップレベルのバレーボール選手は確かにスラっとしていますが、アスリートとしての必要量をしっかり食べています。容姿を気にして食べないなんて、これからの日本を担うスポーツ選手がそんな意識であるはずがありません。
女子の成長期は、小学校高学年の時期が中心です。思春期の成長が始まってから保護者から身長のことで相談されることがありますが、爆発的な成長が始まる思春期の前にどれだけカラダに必要なエネルギーと栄養素がとれているでしょうか。
身長が伸びる要因に「環境」も
身長を伸ばすのに遺伝要因はありますが、環境要因もあります。周りの指導者の話を聞いていると、最近の子どもたちの生活や食事はかなり悪化しているように感じます。
子どもは放っておいて大きくなるわけではありません。ましてやバレーボールやその他競技に取り組めば、日々の活動に伴う必要なエネルギーと栄養素は増えるのです。子どもたちがスポーツを始めるにあたっては、他の習い事とはその点が全く違うことを保護者の方々には理解していただき、スポーツというツールを使いながら、子どもの食生活や睡眠なども整えて大きくなりやすい環境を整えていってほしいと思います。
また特に女子に関しては、小学生段階からの食育を通じ、正しいボディイメージを持つことや、必要のない減量を行わないよう教育する機会をつくってほしいと思います。
バレーボールに限らず、どの競技でも体格が大きいことは有利に働きます。身長を伸ばす努力ができるのはほんの短い期間だけです。その期間に一人一人の伸びしろいっぱいまで大きくなるようにしましょう。
今回は「豚ももみそチャーシュー」を紹介します。豚のもも肉は豚の足の付け根のところあたりからお尻にあたるところの肉です。タンパク質が多く脂肪が少ない部位で、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1が多い部位です。これ1食分でもタンパク質が27.6gとれます。
大きくなれる期間は短いものです。ジュニアの時期にはスポーツ活動に必要なエネルギーや栄養素だけでなく、からだが予定している身長までしっかりと伸ばしきるだけのエネルギーと栄養素をとるよう、子どもたち自身にもしっかり理解させ食べさせましょう。