学校の部活動が新チームとなり、頑張っているジュニアスリートも多いと思います。この7、8月は「選手が体作りに意識を向けるように」と、セミナーに呼ばれる機会もかなり多くありました。そのような場では、アスリートの食事の基本である「主食・主菜・副菜・乳乳製品・果物」や「補食」について話をしてきました。

食事は習慣です。セミナー直後はかなり積極的に「アスリートの食事の基本」を意識していた選手も、気が付けば元の食事になっているということがあります。すぐに効果が出ないのでおろそかになりがちで、食事のタイミングも意識しなくなり、ムラが出てきます。

主食と主菜に偏りがち、ムラ食い

特にジュニアアスリートの食事は主食と主菜だけに偏り、副菜、乳製品、果物をとらないことが多くなります。継続サポートをしているチームの選手から食事画像を送ってもらっても、どこに副菜があるのか探さないとわからないほど少ないか、全くないこともあります。

そのような選手の多くは副菜が苦手で、野菜、キノコ、イモ、海藻などをほとんど食べません。これらの食材は水溶性、不溶性ともに食物繊維を多く含み、排便などにも関係するなど日々のコンディションを良好に保つのに必要です。

また、野菜にはビタミンCやカロテノイド類とともに、フィトケミカルと呼ばれる抗酸化作用が強い化学物質をたくさん含むものもあります。これらの抗酸化作用をもつ食材が、体内で悪さをする活性酸素を除去してくれくれるので、アスリートには、主食・主菜だけでなく副菜もセットで食べてほしいのです。

保護者の言うことを聞かない思春期

継続的に関わる選手には、あまり期間を長く置かずに定期的に食事の状況を確認したり、セミナーでは毎回違う角度から食事について触れていったりすることで、新たな視点から食事や食生活を見直してもらっています。ただ、指摘を受けてすぐに改善し、それが完全に定着するかは個人差があります。今までの食べ方と理想の食事との差が大きい選手ほど、時間がかかります。

「家庭で保護者がサポートすればいいのに」という声もあるでしょうが、保護者の言うことを聞かないのが思春期でもあり、現実です。そこで第三者の私が介入し、選手自身の変化を促せるようにアプローチしていきたいと考えています。

今回は「シラスとキャベツのゴマ油あえ」を紹介します。猛暑の影響か野菜が高騰している中、手頃な値段をキープしているキャベツを使った副菜です。たっぷりのシラスでカルシウムが摂れます。

野菜嫌いな子どもは少し強い味付けの方が食べられるのでゴマ油を使いましたが、カニ風味かまぼこやシラスの塩分を生かして、そのほかの調味料は2人分で中華だし小さじ1とコショウ少々としています。

まずは主食・主菜に加え、副菜で食べられるものを少しずつ増やしましょう。子どもが自分で積極的に食べるようになるように、私も保護者と一緒に声かけをしていきたいと思います。

管理栄養士・月野和美砂