4月から夏くらいまで、ジュニアアスリートやその保護者に栄養セミナーをする機会が多くなります。しかし、こちらが当然のこととして話すことでも、それがきちんと聞き手に理解されているかどうかは別問題です。 

「かさが減る」を理解できない生徒も

例えば、1日に食べてほしい野菜の量について話をしたときのことです。「生野菜ならこれくらい」「加熱した野菜ならこれくらい」と“手ばかり”で、その量を示しながら話しました。聞いている選手たちはうんうんとうなずいていました。

ところが、「加熱をすると野菜はかさが減るでしょう」と言うと、表情が「???」となる選手が現れました。どうやら、野菜をゆでたり、炒めたりするとかさが減る、水分が抜けてボリュームが減るという状況が分からないようでした。その選手には「帰りに、ホウレン草や小松菜、水菜でもいいから買って帰り、ゆでるか炒めるかしてごらん」と自分で体験するよう宿題を出したのでした。

子どもたちの生活経験は年々少なくなってきています。私はこの一件があってから、野菜の話題になると、ちゃんと話が伝わっているかどうかを確認するようになりました。

野菜=生ではない、スープや炒め物でもOK

野菜をとろうとしても、生にこだわるあまり、量を食べられないケースは多いようです。生野菜のサラダもいいですが、たくさん食べたいときはスープに入れたり、炒めたりすれば多くの量をとれることを日々の生活でぜひ体感してほしいと思います。

今回は、高原レタスをたっぷり使った「おもいっきり!レタスのチャーハン」を紹介します。

私の合宿所がある山梨県北杜市は八ヶ岳連峰の南麓に位置しており、すぐ隣の長野県佐久郡南牧村、川上村などでも色々な種類の野菜を多く作っています。夏でも冷涼な気候を利用した「高原レタス」は5月後半くらいから店頭に並び、とても人気があります。

私の合宿所でも、朝採りの大きく新鮮なレタスは欠かせません。レタスのような淡色野菜は緑黄色野菜に比べ、栄養がないと思われがちですが、加熱してかさを減らし多く取れれば栄養的にも価値が出てきます。

葉酸、カリウム、βカロテンなど栄養豊富

レタスには葉酸、カリウム、βカロテン、食物繊維があります。葉酸は酸素を運ぶ赤血球を作ることに、カリウムは筋肉の働きを正常に保ちます。βカロテンは強力な抗酸化力を持っていて有害な活性酸素を除去してくれます。

加熱することで水溶性の栄養素は減りますが、少し食感を残すように炒めれば、かさが減るのでサラダでは1度に食べきれない量もペロッと食べられることでしょう。

今回のレシピでは、大玉レタスの約1/2個分(300g)を使っています。スーパーなどで売られている小ぶりのレタスなら1玉分使用しており、まさに「レタスを食べるためのチャーハン」といえます。

具には卵、カニ風味かまぼことタンパク質も多く、主食・主菜・副菜が一皿でとれるようにしています。旬のレタスのおいしさを「おもいっきり!レタスのチャーハン」で、炒め物でも存分に「おもいっきり!」味わってみてくださいね。

管理栄養士・月野和美砂