昨年12月から高校野球部の選手に食事指導を始めました。ここ最近の状況により、対面だけでなく、オンライン&SNSを使っています。

どの選手も、スポーツ栄養についてのセミナーを受講するのは初めてということでしたが、一生懸命メモを取ったり、質問をしてきたり、一人一人の意欲を感じます。実際、食事画像を見ると、最初に比べれば明らかに摂取量は増えてきており、カラダ作りの意欲は画像にもちゃんと写っています。

とはいっても食事は習慣であり、頭で理解したからといって1、2カ月ですべてが変わるほど簡単ではありません。とりわけ増量は時間がかかります。

食習慣を変えるのは時間がかかり、継続が大切

「増量してカラダを大きくしたい」と考える選手が陥りやすいのが「カラダをつくる」→「筋肉を増やす」→「筋肉=タンパク質」→「肉や卵あるいはプロテインを極端に多くとる」といった行動です。

この野球部の中にプロテインを常用する選手はいなかったものの、食事内容が主食と主菜に偏りがちなのは、小中高校生にはよくあることです。ジュニアでも大人でも全般的な傾向として、野菜、キノコ、海藻といった副菜が、主食や主菜のボリュームに対してかなり少ないことはよくあります。今回も同様でした。

こういった場合、機械的に食べさせると即効性があるように思えますが、本人に「やらされている」感覚があったり、必要性をしっかり理解していないと、継続が難しいものです。親や指導者が「見ていなければいいや」という感じだと、1人の選手として伸びなくなってしまうのです。筋トレも食トレも主体的かどうかで、効果はまるで違ってきます。

そのような理由から、「なぜ副菜が必要なのか」「副菜に含まれる成分は体の中でどんな役割をするのか」を理解してもらいながら、1つずつ食事を改善し、主体的な行動につながるよう働きかけています。彼らはその後も積極的に家事や食事作りをしているようです。

今回は、季節の副菜としてぴったりな「菜の花のゴマクルミあえ」を紹介します。緑黄色野菜の栄養素として多くあるのが抗酸化作用を持つビタミンC、βカロテンなどで、今が旬の菜の花にもたっぷり含まれています。ビタミンCは皮膚や靭帯のコラーゲンを作るのにも欠かせません。

またゴマやクルミのような種実類にはビタミンEが含まれており、これもまた抗酸化作用が強いものです。クルミのビタミンEと菜の花のビタミンCで、より抗酸化力がパワーアップします。このゴマクルミあえは、菜の花以外の緑黄色野菜でも使えます。

旬の時期に日光を浴びて育った野菜はたっぷりと栄養を含んでいます。食材について関心をもって調べれば、その都度、食材の知識がインプットされることでしょう。筋トレも食事作りにも前向きに取り組む彼らの今後の成長を楽しみにしています。

管理栄養士・月野和美砂