毎月行っている栄養ミーティングで先日、取り上げたのは「鉄欠乏性貧血」でした。貧血は、バレーボールの現場ではそれほど珍しくはないため、数年前に再開した今のクラブの子どもたちにも、最初の年から話してきたテーマです。ただ最近は、これまでの貧血予防・改善の指導とは様子が変わってきました。

最近の子どもの偏食傾向

これまでは、予防のためにどんな食べ物を食べた方がいいか、という説明で良かったのですが、最近はかなり子どもの偏食が増えてきて、貧血予防の前に「好き嫌いをなくそう」という指導が必要な状況です。

1つや2つ、特定の食べ物が食べられないのであれば大きな影響はありませんが、「野菜はほとんど食べられない」や「魚介類はすべて食べられない」というケースも出てきています。そのため、「なぜ野菜を食べる必要があるのか」「魚を食べるとどんないいことがあるのか」という話からする必要があるのです。

学校給食も個食、黙食で進められている現在では、なかなか家族以外との“共食”の機会がありません。そうなると子どもたちの食べるものの幅を広げられるのは、家庭しかない状況です。これまで以上に、できるだけ家族で共食の機会をもったり、様々な食材を家族で食べたりして、子どもの食意識を高めることが重要になってきています。

取り組んでいるスポーツを絡めて食べることの大切さに触れていくと、子どもたちも頭で理解し、必要性を感じて行動が変わることもあります。家庭の日々の食事と、我々のような栄養指導者、競技の指導者が「何でも食べられるようになることは大事なことだ」と同じ気持ちで子どもに関わり、子どもの舌を成長させていきましょう。

今回は「オレンジカリフラワーとシーフードのミルクスープ」を紹介します。

つぼみに日が当たらないようにして育てると白いカリフラワーになりますが、オレンジのものは日光を浴びて育ったものです。最近見かけたので、使ってみました。秋から冬が収穫期です。

オレンジ色はβカロテンであり、他にカリウム、食物繊維、ビタミンCを含みます。味は白色と同様、淡泊なのでどんな食材とも合わせやすいのも利点です。

冷凍シーフードミックスには鉄の補給にもなるアサリが入っています。生でも缶詰でも、アサリは鉄がしっかりとれるのでおすすめです。

「これはどんな味かな」と食べたことがない食材を家族で試してみると、食べられる食材の幅を広げることにつながります。貧血の予防にも、好き嫌いをなくすためにもぜひ、家族での共食の機会を少しでも増やしましょう。

管理栄養士・月野和美砂