緊急事態宣言が全国で全面解除となったことで、SNS上で「活動を再開しました!」という報告をたくさん目にしました。体育館などで練習している画像や動画には、大人も子どもも心から喜びを爆発させている様子が映っていて、明るい気分にさせてくれました。

活動自粛中、特に小学生バレーボールの指導者やスタッフが子どもたちの意欲を維持するために、動画を作って投稿したり、子どもたちの自主練の様子を公開していたりと工夫を凝らす様子をたくさん見てきただけに、心底うれしくなりました。

体力技術は落ちても、その笑顔があれば

私が関わる中学生女子のバレーボールクラブも活動を再開しました。かなり長い間、練習ができなかったので、体力も技術も相当落ちています。対人パスも続きませんし、手にきちんとボールも当たらない。サーブを打っても相手コートに届かなかったり、スパイクをネットにかけてしまったり…。

それでも選手たちは、仲間との久しぶりの練習が楽しくて仕方ない様子でみんなニコニコしていました。そう、この笑顔があれば大丈夫。体力や技術はこれから戻していけばいいのです。

大会参加は大きな経験、目標は柔軟に

練習を再開すると、次は試合や大会に出場したくなります。でも今は、子どもたちの体力の回復の程度を見ながら大会までの日程を考慮する必要があります。勝つことだけを考えても故障者が出るだけ。大会に参加する目的や、目標を柔軟に設定していかなければなりません。

これまで、大会自体がいくつも中止になったり、開催した大会も会場での密を避けるためにレギュラーのみが試合に参加していたこともあり、大会そのものを見たことのない子どもたちもいます。「大会を経験する」。たったこれだけのことでも、子どもには大きな学びの機会になるのです。様々な条件があってもスポーツ活動への参加、大会への参加の意味はとても大きいと感じています。

今回は、「豚肉とニンジンのアスリートおこびる」を紹介します。「おこびる」とは食事の合間に食べる“小昼(こびる)“のことで、畑仕事や農作業の合間に食べる軽食を指したもの。長野県の粉ものを扱った本を読んだ時に私も知ったのですが、おこびるの代表的なものはニラせんべいで、通常はニラやナスなどの野菜を具にして、お好み焼きのように小麦粉と具材とを一緒に焼いて食べるそうです。

農作業の合間のエネルギー補給という目的なら、スポーツ栄養で言う「補食」と目的は同じですね。本来は地粉(地粉は地元で収穫、製粉された国産小麦粉)で作るようですが、普通に薄力粉(中力粉)を使って作れます。小麦は人類の最古の食物の1つと言われています。日本国内には地域ごとに色々な小麦の料理や菓子があり、パンなどと同じようにエネルギー源になります。

アスリートの補食に最適な組み合わせ

小麦のタンパク質中のアミノ酸にはリジンが少ないものの、肉や魚を合わせることで互いの不足を補い合うので、今回の「アスリートおこびる」の具材は、「小麦×豚肉」という絶妙のコンビネーションにしてみました。豚肉ではなく、ハム、ツナ、サラダチキンなど家庭の冷蔵庫にあるものを具にしてアレンジもできます。

スポーツ活動とともに、エネルギー補給のための補食も重要になってきます。感染予防対に気を配りつつ、またここから食事で子どもたちを支えていきましょう。

管理栄養士・月野和美砂