暑さや高強度トレーニングによる疲労によって、アスリートは食欲が落ちることがあります。食欲が低下すると必要な栄養素がとりにくくなり、サプリメントに頼ろうとするアスリートもいますが、私はそういうときでも食べて回復させることを優先させます。

「トレーニングはきつくても頑張るんだから、食事を頑張れないわけはないでしょ」。夏場はそんな言葉をよく使うほどです。

そのように食欲が落ちる時期でも無理なく、選手が食べられるようにするためにはポイントがあります。ミキサーなどを使って、食材を細かくするのです。疲れていると「噛む」ことがつらいので、食材を細かくすることで噛む労力が減り、のど越し良く食べられます。

目を守る抗酸化力の高い「ルテイン」

今回は、夏野菜のパプリカを細かくしてたっぷりとソースに使った「黄パプリカソースのパスタ」を紹介します。

パプリカは年中出回っているので旬がわかりにくくなっていていますが、国産パプリカは今がおいしい季節です。パプリカは色によって栄養価が異なることが特徴で、赤と黄、オレンジで比較すると、ほとんどの栄養素が赤パプリカに最も多く含まれます。つまり、「迷ったら赤パプリカ」を選べばいいわけです。

しかし、今回はあえて黄パプリカを多く使用しました。理由はルテインが多く含まれるからです。

ルテインはもともと、目の黄斑部や水晶体に多く存在します。抗酸化物質として目の老化を引き起こす活性酸素を抑え、有害な光を吸収して目を守る働きをします。

夏場は、強烈な紫外線によって目の負担が大きくなるので、このルテインの強力な抗酸化作用が良いコンディションをキープするのに役立つのです。季節によって食品を使い分ける。アスリート食ではとても重要なことです。

管理栄養士・川端理香