アスリートが特に意識したいミネラルは、カルシウム、鉄、ナトリウムやマグネシウムなどたくさんありますが、そもそも私たち人間にとって必須性が認められているのは現在16種類で、「多量ミネラル」と「微量ミネラル」に分かれます。1日に必要とされる摂取量が10㎎以上のものは「多量ミネラル」と呼ばれ、カルシウム、リン、イオウ、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、塩素の7種類。それ以外の「微量ミネラル」は鉄、ヨウ素、亜鉛、銅、セレン、マンガン、コバルト、モリブデン、クロムの9種類です。

しかし、この「多量」や「微量」という言葉だけが独り歩きをしているような気がします。「鉄が微量ミネラルと呼ばれることに納得がいかない」として、私も何回か質問を受けました。

食事摂取基準(2020年)によると、鉄の1日の推奨量は成人男性7.5mg、成人女性10.5mg(月経あり)で、分類としては「微量」に入ります。とはいえ、スポーツをしていると「鉄を多く摂るように」と言われ、アスリートの摂取目標量は一般人の1.5〜2倍となります。

さて、その鉄をしっかり摂れるレシピとして、「厚揚げのアサリソースがけ」を紹介します。

鉄は構造によって、吸収の良いヘム鉄と、吸収の悪い非ヘム鉄があるということはご存知のことと思います。吸収の悪い非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂ると吸収が高まると言われていますが、実は体内の鉄の要求量や、ヘム鉄と非ヘム鉄の比率なども大きく影響しています。

そのため、実際どのくらい吸収されているか、把握しにくいのですが、他の栄養素よりも吸収が落ちるのは確か。多く含む食材を積極的に摂り入れないと、必要量がとりにくい栄養素でもあります。

冷凍のアサリむき身の常備がおすすめ

それを解消するためにおすすめなのが、冷凍のアサリ(むき身)です。アサリは非ヘム鉄ですが、むき身だと殻がない分、しっかり量がとれるため、今回のようなソースにしたり、パスタやスープなどに手軽に取り入れたりすることができます。うま味でおいしさもアップするので、ぜひ常備していただきたい食材です。

厚揚げにも鉄(非ヘム鉄)が含まれています。鉄を含む食材を複数で摂れるよう工夫してみてください。

管理栄養士・川端理香