静岡県はサッカーがとても盛んな地域です。中でも私が住んでいる藤枝市は「蹴球都市」と呼ばれるほど、町のあちらこちらでサッカーの活気を感じられます。
28歳になる長女は今でもサッカーをしたり、観戦したりするのが大好きな「サッカー女子」に育ちました。彼女のおかげで、私自身もスポーツ栄養士としてサッカーチームをサポートする仕事に携わるようになりました。さらに「まずは自分から」と、女性限定のウォーキングサッカー「おとななでしこひろば」にも毎週参加。なかなか上達はしませんが、筋力や体力が大きく向上し、以前より元気になったのを実感しています。
私が現在、サポートする「藤枝順心ジュニアユース」の選手たちは全国大会を目指して頑張っています。試合スケジュールから逆算して、試合当日の朝食や昼食、試合前後に何を食べるかを「自分の食べ方」を計画できるよう伝えています。選手それぞれが食べる量や食べたいものが違うので、各自で考えて準備し、試合に臨むことが大事です。
試合前の食事もトライ&エラー
やってみたけどうまくいかなかったことは、次の課題として修正していけばいいと思います。例えば、「試合前用と試合後用として合わせて4個のおにぎりを持参してきたけれど、おなかが空いていたので、試合前に全部食べてしまった!」という選手がいました。その選手には試合後、チームで用意したエネルギーゼリーやバナナなどを補給してもらいましたが、翌週の試合に向けて改善策を考えていこうと、ポジティブにとらえられるよう促します。
サッカーの技術と同じように、食事の準備も日々の積み重ねが大事です。計画を立てて準備し、試合後には「何をどれだけ食べてどう感じたか」を振り返り、次回にどう生かすことを考えます。漠然と考えるのではなく、下記にある「PDCAサイクル」や、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(実行)の「OODA(ウーダ)ループ」を使って考えると分かりやすいですね。
試合に向けた栄養PDCAサイクル
●Plan(計画)
試合で良いパフォーマンスを発揮するための食事・栄養補給を計画。朝食、昼食では何を食べるか、試合前後の補食は何を用意するかなど。
●Do(実行)
実際に栄養補給を実行する。計画した通りに食べることができるか。
●Check(確認)
計画と実際に食べたもの、自分の体調やパフォーマンスを振り返る。「計画通りに食べる事ができたか」「用意をした量で不足はなかったか」「エネルギー切れはしなかったか」「疲労感は少なかったか」など、計画についての振り返りを行う。
●Act(改善)
振り返りをもとに次に向けて改善。不足をしていたら、次はもっと補給ができるよう増やす、食べやすくするなど、少しずつ工夫してく。
このようなサイクルを繰り返すことで、自分が一番良い試合に向けての栄養戦略が出来上がっていきます。ジュニアアスリートは失敗を恐れず、このサイクルを繰り返し、自分に合った栄養の摂り方を見つけていきましょう。
今回は、試合の日の朝食にもぴったりなカルシウムたっぷりの「小松菜とシラスの卵炒め」を紹介します。材料も少なく、フライパンひとつで簡単に作れます。
静岡県はシラスの水揚げが多く、「釜揚げシラス」はそのままご飯にかけるだけでもおいしい便利な食材です。ただ、近年価格が高騰し手に入りにくくなっています。
小松菜も静岡県内でたくさん生産され、地元の小売店でも県内産を多く見かけます。洗って食べやすい大きさに切ってから冷凍保存すれば、すぐに使える便利な食材です。小松菜もシラスも、アスリートが不足しがちなカルシウムが豊富で簡単に調理できるので、ぜひお試しください!
静岡県の情報を中心に携わらせていただいて6年。私のコラムはこれで終了となります。今まで読んでくださった皆様本当にありがとうございました。これからも皆さんの活躍を遠くから応援しています。引き続き、皆さんの夢が叶うことを心から願っています。本当にありがとうございました。