最近は、コロナ禍では実施できなかったスポーツ栄養に関する活動が活発になっています。私の食育講座としては、栄養に関する講義とともに、「はかる」「たべる」を取り入れた活動を多く実施しています。小中学生を対象とするものは、保護者も同席して一緒に学んでもらっています。

自分とご飯の量を「はかる」

「はかる」とは、「計測」として体重や体組成の測定、簡易ヘモグロビン測定で自分の体を知り、「ご飯をはかる」で食べる量を量ってもらいます。

体重や体組成とともにご飯も量り、食べる量を把握
体重や体組成とともにご飯も量り、食べる量を把握

子どもたちを見ていると、「自分でご飯をよそう」習慣がない子が多いことに驚きます。私は幼い時から「自分で食べられる量をよそうように」と言われて育ったので、わが子たちにもそうしてきました。皆さんはいかがでしたか?

「自分でご飯をよそう」習慣がない子が多い
「自分でご飯をよそう」習慣がない子が多い

数多くの食育活動を通して、子どもたちの様子を見ています。最近の子どもたちの傾向は保護者がよそってくれたものを食べる、そう、「受け身」なんです。食育では、何をどれくらい、いつ食べるのか、「自分にとって何が必要なのか」を感じることが大切です。

まずは普段自分が食べているご飯の量を知ること。その上で「背を伸ばしたい」「増量したい」「体を大きくしたい」「当たり負けしない」「スタミナをつけたい」「貧血を予防したい」「ケガを予防したい」など、自分が求めている体に近づくにはどうしたらいいのか、を考えていきましょう。

足つり防止で水分補給に意識がいきがち

暑くなると、食欲が落ちて麺類やヨーグルトなどの冷たい食べ物ばかりになってしまう選手もいます。「足がつる」という声も多く聞きます。足がつると、水分やミネラルが不足していると意識して、一層、水分補給に力が入る選手が多いのですが、実はそれだけではなく、「食事量が落ちている」ことが原因のこともあるのです(※)。

ナス、トマト、レタス、キュウリ、ゴーヤー、トウモロコシ、スイカ、梨…。これら夏に収穫する野菜に共通するものには「カリウム」と「水分」が多く含まれます。夏野菜をたっぷり活用すれば、自然とカリウムなどのミネラルがとれ、同時に水分も補給できます。体温を下げる効果も期待できますし、ご飯やほかのおかずも一緒に口にすれば、エネルギーチャージにつながります。

旬のとれたてトウモロコシ
旬のとれたてトウモロコシ

私の住む静岡県内には有名なトウモロコシ農家がいくつかあります。6月は最盛期で、7月にももう一度注文し、旬を楽しみました。これからの季節はトマト、ナス、キュウリ、オクラ、ピーマンなどが旬を迎えます。学校や家庭菜園で育てている人は収穫が楽しみですね。

今回は、夏野菜のナスを使った「ナスとザーサイの炒め煮」を紹介します。ザーサイが調味料代わりになり、ご飯が進む一品です。ナスはカリウムが豊富なので体内の水分を外に出し、夏の上昇しやすい体温を下げるために有効に働くことが期待されます。

ナスが好物だという人がいる一方で、灰汁の強さからか、子どもが苦手な野菜の1つに挙げられるものでもあります。苦手な人は、このレシピのように豚肉や鶏肉のひき肉などと一緒に、みそやデミグラスソース、カレーソースなどこってりした味と合わせると食べやすくなります。

暑い夏もしっかりご飯を食べてエネルギーを確保し、夏バテを予防しましょう。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ

※もちろん、水分補給も大切です。水分補給については以下の記事を参考にしてください。