五大栄養素の1つ、ビタミンは全部で13種類あり、特徴や役割によって「脂溶性ビタミン」と「水溶性ビタミン」に分けられます。
脂溶性ビタミンは4種類
「脂溶性ビタミン」はビタミンA、D、E、Kと4種類あります。
・ビタミンA=皮膚や粘膜を健康に保ち、感染症を予防
・ビタミンD=カルシウムやリンの吸収を促進。紫外線に当たると皮膚に生成され、肝臓に蓄えられる
・ビタミンE=強い抗酸化作用があり、細胞の老化を予防
・ビタミンK=血液凝固に関わり、骨代謝にも関わる
ビタミンAを多く含むニンジンを炒めると、油が赤くなるのを見たことがあるかもしれません。脂溶性ビタミンは文字通り油に溶けやすい性質があり、オイルを使ったドレッシングや、ナッツと一緒に食べるなど油分を取り入れると、吸収率が良くなります。ただし、カラダに蓄積する性質もあるので、サプリメントなどから多く摂りすぎると、吐き気や頭痛を起こすこともあるので注意しましょう。
水溶性ビタミンはB群とC
「水溶性ビタミン」は水に溶ける性質を持つもので、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)とビタミンCの9種類あります。ビタミンB群はエネルギー源である三大栄養素「糖質・脂質・タンパク質」からエネルギーを生みだす(代謝)ために、大変重要なビタミンです。疲労回復も促進します。
例えば、エネルギー補給用のゼリーやスタミナドリンクとして販売されている商品には、糖質をエネルギーに変える時に必要なビタミンB1が必ずと言っていいほど入っています。タンパク質も摂取できるゼリー飲料やプロテインバーなどには、タンパク質をエネルギーに変える時にビタミンB6が入っています。
ビタミンB1はアリシンと一緒に
豚肉や卵、大豆製品や米の胚芽部分に多く含まれているビタミンB1は、一緒に香りの強い香味野菜(ネギやニラ、ニンニクなど)と食べると良いでしょう。香味野菜にはアリシンという成分が多く、糖質からエネルギーを生み出す効率をさらに上げてくれます。豚のショウガ焼きはタマネギを加え、ご飯と一緒に食べるのは良い例です。豚レバニラ炒めやニンニクをたっぷり使用した豚キムチ炒めなども良いですね。
なぜ多くの野菜を摂らなければならないのか
アスリートに、一般の人よりも多く野菜や果物を食べることを勧める主な理由は「ビタミンCをしっかり摂りたいから」です。一般の人よりもアスリートは心身を酷使していますので、意外かもしれませんが、免疫力が比較的低いと言われます。アスリートは身体面と精神面の両方のストレスと戦っています。ビタミンCは、心身のストレスの改善にも役立ちます。
質の良い練習をするためには、ストレスに対抗する必要があります。私たちの体は呼吸によって常に酸素を取り入れており、その酸素の一部が、体内に侵入してきた細菌などを死滅させる作用を持つ「活性酸素」となります。運動をすると酸素の消費量が増えるため、増えすぎた活性酸素は正常な細胞やDNAを傷つけ、破壊してしまうことがあります。
ビタミンCとビタミンEはその活性酸素を速やかに除去して悪さを抑える働きをしてくれます。つまり、運動量が多くなれば、「抗酸化ビタミン」と言われる「ビタミンA・C・E」の必要量も多くなるのです。
ビタミンCでストレスに勝つ
抗酸化ビタミンのうちAとEは脂溶性ですが、水溶性のビタミンCはたくさん摂っても血液中の濃度が高くなるものではないので、常に体内に入れておきたいビタミンです。また、アミノ酸の代謝に関与する栄養素でもあるので、腱や関節を強化するコラーゲンの生成の保持にも関係し、ケガ予防にもつながります。
「ビタミン」と聞くと、野菜や果物を思い浮かべる人が多いと思いますが、その理由は「ビタミンCのイメージ」があるからです。実はビタミンC以外のビタミンは、動物性のタンパク源や緑黄色野菜に多いのです。
アスリートは、一般の方よりもエネルギーを多く使い、体を大きくしたい上に多く動かします。ということは、たくさんのエネルギーやタンパク質に比例して、それを動かしたり調整したりするためのビタミンやミネラルも多く必要となることは想像できますね。エネルギーになる三大栄養素、糖質・脂質・タンパク質だけでなく、ビタミン・ミネラルについても意識を高くもちましょう。
ミカンの産地・静岡県
さて、私の住む静岡県では、温州(うんしゅう)ミカンの生産が盛んです。三ヶ日ミカン、静岡ミカンなどの名称を聞いたことがあるでしょう。その中でも三ヶ日ミカンは、2015年4月にスタートした「機能性表示食品制度」において、骨粗しょう症予防効果やガン予防の効果が期待される「βクリプトキサンチン」が多く含まれるとして、生鮮食品で初めて表示が認められました。その後、静岡県では「機能性表示食品」として認められる野菜や果物が増えています。
1日にミカンを3個食べると骨の健康に役立つと言われています。また、三ヶ日ミカンは機能性だけでなく、甘味と酸味の絶妙なバランスが特徴で、贈答品としても大変喜ばれます。
ミカンはそのまま食べてもおいしいですが、補食にぴったりな蒸しケーキにしてもいいですね。今回は「ミカンたっぷり蒸しケーキ」を紹介します。ホットケーキミックスとミカンを電子レンジで混ぜるだけ。ミカンの甘さや酸味で砂糖の量を調整してくださいね。
冷凍ミカンのおいしい作り方
また、ミカンを食べきれない場合、「冷凍ミカン」として保存しておくのもおすすめです。学校給食で出されて懐かしい人もいるでしょう。
そのまま冷凍(凍ったら水をくぐらせて、再度冷凍庫で凍らせると氷の膜ができて乾燥防止になります)しても、外皮をむいて丸ごとラップして冷凍しても、小房に分けて冷凍保存用袋にバラバラにして冷凍してもOK。コツはステンレスやアルミ製のバットに置くなどして急速冷凍すると、品質が保てます。
我が家では次男が大好き。三ヶ日ミカンを箱で購入してもあっという間になくなってしまいます。冷凍ミカンにしておいても保管にもなりませんでした(笑)。