厚生労働省が提唱する国民の新しい健康作り「健康日本21」では、「野菜類を1日に350g以上食べましょう」としています(ここで言う「野菜」は「キノコ、海藻」も含む)。野菜にはカリウム、食物繊維、ビタミン(A、C、E等)などの栄養素が多く含まれています。これらの栄養素を摂取することは健康維持に役立つと報告されており、十分な量をとるために必要な野菜の量は1日350g以上と考えられているのです。

しかし現在、日本人の野菜摂取量の平均値は280gで、あと70g足りていません(※)。とはいっても、毎食、実際に測って食べるわけにはいきませんよね。そこで、目安となるのが「手ばかり栄養法」です。

野菜1日350gってどのくらい?

手ばかり栄養法

上の図にあるように、緑黄色野菜(色の濃い野菜)は1日に両手に乗るぐらい、その他の野菜(色の薄い野菜)は両手2つ分ぐらいを食べるのが目安です。これなら実際の大きさや量が見えるので、わかりやすいですよね。背が高い人と低い人では手の大きさも違うため、350gを量るものではありませんが、体の大きさと必要なエネルギーは比例するので、自分の手のひらを使ってコントロールする方が、自分にあった量だとも言えます。

「野菜を食べる」と聞くと、生野菜のサラダをたくさん食べろと思う人がいるかもしれませんが、そういうことではありません。生野菜だけでは色の薄い野菜に偏りがちです。赤、黄、緑色が濃い野菜は加熱しないと食べられないものが多いので、主菜に入れ込んだり、スープに入れたり、調理を工夫しておかずの中で摂るようにしましょう。

果物を毎日200g食べる効果とは

また、「健康日本21」では「果物は毎日200g」を推奨しています。手ばかり栄養法では、人差し指と親指で輪を作り、その中に入るくらいの量となります。

果物はビタミンCだけでなく、糖質も同時にとることができます。エネルギー源、ビタミンとミネラルの補給源にもなる果物は、アスリートの味方です。特にバナナは1食当たりのエネルギー源が多いので、補食としてアスリートにも人気ですね。キウイや生のパイナップル、パパイヤにはタンパク質分解酵素が含まれているので、肉料理に使うと、肉を柔らかくしてくれます。

野菜や果物を食べると、食物繊維を摂ることになり、腸の調子が良くなります。糖質のほかビタミンCもとれるので、植物性食品からの鉄(非ヘム鉄)の吸収率を上げてくれるなど、たくさんの働きをしてくれます。

野菜や果物には様々な種類がありますが、旬のものを意識して食べるようにすると、その季節の体の課題の解決につながります。例えば、夏が旬のスイカやメロンなどは体を冷やしてくれる効果があるので、「夏場の体温調節」に大いに役立ちます。冬が旬のホウレン草は夏のホウレン草より約3倍のビタミンCを含むため「風邪予防の効果」が期待できたり、大根、カブなどの根菜類は消化酵素をたっぷり含むことから「消化を促す効果」があったりします。

野菜(キノコ、海藻を含む)、果物は私たちが食品から得たエネルギーを上手に利用するために、体の調子を整えるために必要なビタミン、ミネラル、食物繊維などをとるために、とても大切であることがわかっていただけたと思います。積極的に、とりたいですね!

今回は、「小松菜のチーズ春巻き」を紹介します。

緑黄色野菜の小松菜は冬が旬で、静岡県でも多く生産されています。βカロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄、食物繊維を多く含みますが、先日には浜松市の生産者が、目の調子を整えるとされるルテインを含むサラダ小松菜を発売しました。小松菜の機能性表示食品は国内初とされています。

目のぼやけ、かすみを軽減し、くっきり見える力を改善するとのこと。生食できることが特徴で、そのまま食べても加熱をしてもルテインを摂取することができるというのがうれしいですね。

出典:厚生労働省 平成30年 「国民健康・栄養調査」

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ