秋の大会に向けて本格的に準備をしている選手、チームも多いのではないでしょうか。過ごしやすい季節となり、本来ならば今までの練習の成果を出して、一番頑張りたいところなのに、「何となく調子がでない」「記録が伸びない」という選手はいませんか。夏バテかと思って様子を見ていたけれど、なかなか回復しないという人もいるでしょう。
その原因が「貧血」のこともあります。
貧血とは、血液中の赤血球の中にあるヘモグロビンが減少した状態のことを言います。ヘモグロビンは酸素を体の隅々に運ぶ役目があるので、足りなくなると、パフォーマンスに影響が表れます。特に持久力への影響が大きいと言われています。
夏場に鉄欠乏性貧血になる理由
貧血は原因や病態によって分類されていますが、アスリートは鉄不足を原因とする「鉄欠乏性貧血」になることが多くあります。夏場に鉄不足になる理由として以下の2点が考えられます。
(1)暑い中で練習することで多くの汗をかき、汗と一緒に鉄も流れ出た
(2)夏休みで学校給食を食べていなかった。鉄が不足しないよう栄養計算されている学校給食を食べていなかったことで、鉄の摂取量が大きく低下した
貧血の原因のもう1つが「エネルギー不足」です。活動量が増えてきたら、食べる量も増やしてエネルギーが不足しないようにする必要があります。学校給食がないときの食事がおろそかになる選手は、特に週末の食事をしっかりとって、鉄を意識するようにしてみましょう。
肉の種類や部位の鉄含有量比較
選手が好きな肉も、種類や部位によって鉄の含有量が違います。100g当たりの牛ヒレ肉、豚ヒレ肉、鶏むね肉でも下記の図のように、鉄の含有量はこんなにも違うのです。タンパク質を意識して鶏むね肉を食べる頻度が多いアスリートは多くいますが、実は鶏むね肉は鉄が少ないため、鉄は他の食品から多く摂る必要があることを知ってほしいと思います。
赤身肉のほか鉄を多く含む食品は、カツオやマグロなどの赤身の魚、アサリなどの貝類、豆腐や納豆などの大豆加工品、卵、ヒジキなどの海藻類、小松菜やモロヘイヤなどの青菜類、切り干し大根があります。今ではコンビニにも、鉄分が強化されているチーズやヨーグルト、ジュースなどが並んでいます。ちょっとした意識で鉄の摂取量を増やすことができるので、選手自身にもそういった意識をもってコンビニの商品を眺めて欲しいものです。
今回は、鉄分の多い牛肉と冷凍庫で保存をしておいた小松菜とシイタケを使った楽ちんメニュー、「包丁いらずの牛肉と冷凍野菜の炒め物」を紹介します。
小松菜やシイタケは冷凍保存に向いています。購入したら食べやすい大きさに切って保存袋に平らに入れて、冷凍しておきましょう。そうすれば、使いたいときに、使いたい分だけを袋から出すだけです。忙しい朝ごはんにも重宝します。炒め物などにちょっと鉄の多い食材を加えるだけで、貧血予防になりますよ。