競技にあった身体を作り、コンディションを整えるには、スポーツをするためのエネルギーを十分に補給し、適切な栄養素をバランス良く、食事から摂ることが大切です。このことは、アスレシピの管理栄養士の皆さんがコラムなどで、形を変えてお伝えしています。

食品から日々の献立を考えていくために、「何をどれだけたべたらいいか」「何が多くて何が足りないのか」を自分の食事を振り返り、再確認したり見直したりしていきましょう。

1日の摂取エネルギー3500kcalの献立例

今回は「1日の摂取エネルギーが3500kcalのバランス献立組み合わせ例」を紹介します。

下の図を見てください。これは陸上、テニス、サッカー、バスケットボール、卓球、バレーボールなどの運動部に所属する男子高校生や積極的にスポーツをする成人男性に推奨する献立例です。皆さんはこれぐらいの量と食品の数を食べていますか。

朝食=約900kcal
食パン6枚切り2枚(ジャム・バター付き)、ホウレン草とタマネギのコンソメスープ、ハムエッグ(卵2個、ハム15gを2枚、サニーレタス1枚、千切りキャベツ30g、ミニトマト2個)、コーンフレーク30g(バナナ1/3本、はちみつ)、フルーツヨーグルト(キウイ30g、パイン40g、リンゴ30g、無糖ヨーグルト50g、砂糖小さじ1)、豆乳200cc

昼食=約1000kcal
玄米入りごはん330g、レバー入りの煮込みハンバーグ130g、サツマイモの甘煮3切れ約80g、ミニトマト2個、ブロッコリーのみそマヨネーズかけ、ニンジンとレンコンのきんぴら、焼き鮭1/2枚50g

補食=約350kcal
ちりめんじゃこと大葉のおにぎり120gを2個、チーズ20g

夕食=約1500kcal
ごはん350g、アサリのスープ、豚のショウガ焼き150g、トマト・レタス・ブロッコリー・おから入りポテトサラダ100g、根菜とシイタケ、ヒジキの炊き合わせ、冷奴80g、オレンジ1/4個、牛乳200cc

食事の持つ役割と食べ方のポイント

次に、それぞれの食事の持つ役割と食べ方のポイントです。

朝食
朝食はとても大切で、ポイントは「寝坊しても食欲がなくても、主食と主菜は優先して必ず摂ること」です。主食の炭水化物と主菜のタンパク質によって体温をぐっと上昇させ、1日の体温を維持させましょう。睡眠中に使ったエネルギーを補給し、便秘の予防にもなります。また朝食は、体内時計のズレをリセットするのにも大きく役立っていますので、夜の睡眠の質を高めることも分かっています 。

昼食
昼食は、コンビニで購入する際も外食の場合でも、できるだけ「主食」「主菜」「副菜」を揃えることを意識しましょう。コンビニでは、おにぎりやパンなどの主食だけでなく、サラダチキンやゆで卵などの主菜、カップサラダや野菜のおかずなどの副菜を買いましょう。外食では定食タイプを頼むようにし、可能であれば、副菜になるもの、例えばホウレン草ソテーや煮物などを追加注文しましょう。

補食
補食は午前中、または練習の前後に食べましょう。お菓子ではなく、あくまでも「食事」と考えることがポイントです。

夕食
夕食は野菜、キノコ、海藻類、果物などを使い、その日にとれなかった栄養素を補う気持ちで献立を考えていきましょう。日中の食事は、どうしても主食と主菜に偏りがちになるからです。

夕食の時間が遅くなってしまう人は、例えば、練習前後の補食をしっかりと食べて、帰宅してから主菜、副菜、果物などを食べるというように、夕食を「2回に分けて摂る」方法をおすすめします。また、唐揚げやカレー、シチューなど脂質の多い食事は消化に時間がかかるため、睡眠の質が下がり、翌朝の食欲低下にもつながるので注意しましょう。朝食が食べられない人の多くは、夕食の時間や量、食べ方に原因があります。

「理想」に近づけるように1つずつ改善

ここまで説明してきましたが、これは「あくまでも理想の食べ方」です。成長期のアスリートは勉強に練習にと、忙しい日々を送っています。栄養のお話をする職業の私でも、2人の息子たちに毎日、このような食事を準備できているわけではありません。

皆さんにやって欲しいことは、これを見て「自分の食事と、どこが違っているのか」を確認することです。量でしょうか、食材の数でしょうか、食べ方でしょうか。少しでも、この理想形に近づけていくために、できることを1つずつ改善していきましょう。

次回は、これよりもエネルギー必要量が少ない人、多い人はどのように調整をしたらいいかをお話しします。

今回のレシピは「小松菜とだし粉たっぷりのみそ玉」です。

小松菜はカルシウムが豊富、牛乳並み

小松菜は緑黄色野菜で、静岡県でも通年、中部地方、西部地方でたくさん生産されています。成長期のアスリートの骨や歯の健康に役立つカルシウムも豊富で、その量はホウレン草の3倍、牛乳並みの量が含まれています。βカロテンやビタミンCも多く、味もアクやクセが少なく、下処理なしで時短調理できるところも取り入れやすいポイントです。

私は、ゴマ油でさっと炒めて塩を少し振って食べるのが好きなのですが、みそ汁に応用してもゴマ油で食欲がそそられ、コクも出てとてもおいしいです。具とみそを混ぜて1人分のみそ玉をまとめて作り、冷凍保存しておくと、いつでも簡単にみそ汁が作れます。

小松菜だけでなく、キャベツやニンジン、タマネギなど、野菜を増やして具だくさんみそ汁にしてもいいですし、持ち運びもできるのでランチに持っていき、お湯を注いでみそ汁にしても良いですね。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ