私が行う栄養セミナーは、チーム事情に合わせながら「自分データの見える化」「地域の食材の学び」に食事を取り入れた形をベースにしています。まだまだコロナ禍ですが、スポーツ合宿や、地元の小学生から高校生に対する食トレの依頼が、少しずつ戻ってきているので、感染防止対策を徹底しながら、今できることを着実に進めていきたいと思います。
先月には、静岡県富士市にある富士見高校男子サッカー部の1年生部員19人に対して栄養セミナーを実施しました。富士市役所食育推進室の主導で、国際ソロプチミスト(ボランティア団体)と共同で実施している事業で、継続的にフォローしていくものです。その模様をお伝えします。
自分の体と食べている量を「見える化」
1回目の栄養セミナーは選手と保護者に参加してもらいました。まず、選手は体組成測定器やヘモグロビン値測定器を使用して数値を計測し、自分の体を「見える化」します。その上で、どんな体になりたいのか、「目標設定」を行います。
次に、スポーツ栄養の基本の講義を受講し、弊社で準備した「スポーツ食育弁当」を食べてもらいます。通常食べているご飯の量を各自で計量して、「見える化」をしてもらいました。使用した食材には、富士市産のほうじ茶、トウモロコシ(わくわくコーン)、ホワイトマッシュルームも使っており、その説明も行いました。
<主食>ほうじ茶の炊き込みご飯(400g以上)
<主菜>豚ヒレ肉のグリル マスタードソース
<副菜>長谷川農園のマッシュルームソース、わくわくコーンボイル、トマトとキュウリの中華サラダ、うずら卵とパプリカのカレーピクルス
<果物>キウイフルーツ
<乳製品>ヨーグルト(カップ)
お弁当を食べて講義の内容を体感
実際にお弁当を食べることで、量や栄養バランスを体感できるので、作り手側(保護者)も食べる側(選手)も講義の内容の理解が深まります。そこで改めて「行動目標」を具体的に立ててもらいました。
例えば、「ご飯の量を毎食量り、前日より10gでも多く食べるようにする」「毎食タンパク質の食材を食べる」「練習前の補食は必ず摂る」といったように。
食事への意識の高まりを継続させる工夫
通常のセミナーであればここで終了、あとは各家庭に任せるということが多いと思いますが、この取り組みはここからが本番です。翌日から1週間、食事の報告をメール等でしてもらい、その都度、私と富士市役所の管理栄養士がアドバイスを送るのです。1週間やりとりすると、これまでの食事内容に随分と変化が出てきます。
セミナーから約1カ月後に再度、体組成やヘモグロビン値を測定し、1カ月前のデータと比較してもらい、体の中の変化を感じてもらうという流れです。体は1日で変わりませんが、継続して食事を整えていけば必ず体は変わります。1カ月で成果が出ないものもありますので、継続してチャレンジしていって欲しいと思います。
8月には1年生に対する取り組みを元に、サッカー部の2、3年生や他部の部員への栄養セミナーへと広げていきます。選手たちの意識が変わり、体が変わることを楽しみにしています。
今回紹介するレシピは「ゴーヤーとちりめんじゃこの甘辛佃煮」です。この時期、毎年叫ばれる猛暑における節電対策の1つとしてゴーヤーの「グリーンカーテン」にチャレンジされた方もいるでしょう。
ゴーヤーは特有の「苦み」が特徴ですが、これは「モモルデシン」という物質によるもので、この苦みが食欲を増進する働きがあるといわれています。食欲の落ちやすい夏にぴったりの野菜といえますね。ただ、苦みの苦手な方は、中の白い部分をしっかりと取り除き、ゆでたり、天日干しにしたりすると苦みが抜けます。
また、多くのビタミン類が含まれていますが、熱に弱いとされるビタミンCも野菜の中では大変豊富なので、まさに今、食卓に取り入れて欲しい食材です。ゴマ油で炒めるのもポイントで、ちりめんじゃこの代わりにツナ缶を入れてもおいしいです。
苦みが好きな方は、ゴーヤーだけの佃煮にしてもOK。夏の「ごはんのお供」としてもぜひご活用ください。