私が幼かった頃と違い、今は食べたいときに食べたいものを「買う」ことができる時代です。スポーツ栄養学も確立されつつあり、機能性を重視した商品もたくさん出回っています。

食品表示もしっかりと国が管理し、情報を公開していますから、それを読み取る力も大切ですね(消費者庁のHPも大変分かりやすい)。食品表示について理解していれば、購入する加工品が何からできているか、何が多く含まれているかが分かる、大変便利な時代です。

食品表示を確認し、自分に合ったものを選ぶ

アレルギー体質の人はもちろん、そうでない人も自分の体に入れるものは、自分にとって何が大丈夫でダメなのか、把握しておく必要もあります。私は油分の多いもの(特にマーガリンをはじめとする加工油脂)や小麦粉が多く使われているものは、体調が悪くなるので買わないようにしています。

アスリートに関わらず、自分の健康を守るためには「自炊力」と「食選力」が大事です。と言っても、凝った料理を作る必要はありません。簡単なものでいいので、さっと自分で食べたいものを作ることができたら、その料理の材料や調味料の分量などが自然と分かるようになり、コンディションが整えやすくなるのです。

簡単に調理できる、常備する方法を指導

数カ月前から、あるサッカーJ1チームからの依頼で、若手選手たちへオンラインを活用した食事指導を行っています。外出自粛期間があったこともあり、プロになって間もない20歳前後の選手でも自炊をしている選手が多いことが分かりました。

自炊を始めたばかりの選手には、練習や試合で疲れていても簡単に調理できる方法や、冷凍野菜をはじめとした便利な食材をどこで手に入れるのか、常備するといいかを、選手の環境に合わせて1つずつ伝えていきます。

例えば、生の野菜や肉、魚を使って一から作るのは理想ですが、缶詰、カット野菜、コンビニで買える素材などを使って調理道具も皿も少なくて済む、手抜きの方法も伝えていきます。食事指導を受けて、さらに自分で料理するようになった選手は、体調を食でコントロールできるようになると改めて感じています。

頑張りすぎず、手抜き食材を上手に使う

忙しいのは、私たちジュニアアスリートを支える保護者も同じです。子どもや家族のためを思って頑張りすぎても、親のストレスは子ども供にも伝染します。よってお互いのコンディショニングに悪影響を及ぼしかねません。手抜き食材を使いながらも、バランスの良い食事をうまく作り、選手たちをサポートしていきたいものです。

強い選手は自分を取り巻く環境が変わっても、心身のコンディションを崩さないことが何よりも大事です。コンディションにムラのある選手は強くなれません。前回のコラムにも書いたように、例えば、胃腸の調子が安定しない選手にとって、消化吸収の能力を高めることもトレーニングの1つ。それには、幼い頃からの食経験も影響しています。いざというときに、コンディションを崩さない選手になってほしいですね。

今回は、「豚レバーチャップ」を紹介します。レバーの下準備をしっかりすることで、レバーが苦手な人でも食べられる(!?)というメニューです。お試し下さい。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ