管理栄養士になって23年、スポーツ選手のサポートを始めて8年が経ち、たくさんのアスリートと関わってきました。かつては、世界大会出場レベルの陸上長距離の実業団女子チームや、短距離などの女子選手をサポート。現在は、プロサッカー選手2名をはじめ、静岡県内外の高校、大学生のアスリート6名と個人契約し、チームとしては藤枝東高校サッカー部の栄養指導を継続的に行っています。

プロ選手の場合、パフォーマンスアップのために、それぞれの目的に合わせて取り組むことがほとんどですが、ジュニアアスリートの場合、目的、要望に大きな特徴があります。

男子で最も多いのは「体を大きくしたい」「増量したい」。乗馬など重量の枠がある競技を除き、野球、サッカー、水泳、硬式テニス、陸上、バスケットボールといった選手が、そう希望していました。今回は、男子のジュニアアスリートの悩みに多い「増量」について、お伝えします。

小5から増える「食べても太らない」

個人サポートの依頼が増える学年は、小学校5年生。「食べても太らない」「食が細い」といった声が多く聞こえます。

体を大きくしたい子は、今よりもたくさん食べなくてならないことは分かっています。野菜など、苦手なものを食べないといけないことも理解しています。ですから保護者は、子どもが自発的に食事と向き合えるように、上手に声かけをすることが大切です。

知識教える前に目標を明確に

また、最初から知識や手段を教えるのではなく、子ども自身がどうなりたいのか、どうしたいのかをしっかりとイメージさせることが大切です。そのため、小学高学年になったら、目標や目的を明確にしましょう。

「オリンピックに出たい」「県大会で優勝したい」という大きな目標もあれば、「常にレギュラーでいたい」「ケガをしない」「タイムを○秒縮めたい」といった当面の目標でも構いません。具体的になれば、そうなるために何が必要なのか、足りないのかが分かるようになり、そこで初めて知識や手段を考えていけばいいのです。

現状把握、過去の自分と比較して

さて、話を戻しましょう。

「体重をもっと増やしたい」と口にしているものの、今の自分の体重や体脂肪、筋肉量を知らない選手、食べているご飯の量を知らないという選手が大勢います。まずは自分を知ること、現状把握から始めなければなりません。他人ではなく、過去の自分と比較するためにも、データをとることは重要です。

男子選手のほとんどは、体組成(体重、体脂肪、筋肉量など)や血液データ(ヘモグロビン値など)など、「数値」を把握することで、自然にモチベーションがアップしていきます。そこに、保護者や指導者の励ましや、声かけが有効になってきます。

「体重を測る」「野菜を多く食べる」といったことでは、あいまいです。

体重は毎朝、トイレの後に測り、記録はスマホのメモ機能に入れる。
野菜は、毎食片手1つ分以上を食べる。

といったように具体的にチェックができる行動目標を立て実行します。これをコツコツやれる選手は、確実に向上します。保護者は、サポートする声かけをしましょう。

今回は、藤枝東高の食トレでも提供した「鶏もも肉のプルーンソテー 柿とチーズのサラダ添え」を紹介します。私が経営する「くるみキッチンプラス」で月替わりの「食トレメニュー」として一般のお客様にも提供しており、11月はこのメニュー。選手だけでなく、保護者や地域のお客様からも大変好評をいただいております。

ソースは、多めに作ってラップなどで小分けして冷凍しておくと便利。ハンバーグやポークソテーにも合います。ぜひお試しください。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ