新しい生活に慣れてきた頃とはいえ、心身の疲労が重なる時期だと思います。急に暑くなったり、肌寒い日があったり、日々気を付けていても体調がイマイチなこともありますね。一方でトレーニングの強度は、ますます上がっているでしょう。

そんな時は免疫力も低下しがちで、普段なら問題ない衛生状況でも体調に影響を及ぼすことがあります。今一度、「キッチン衛生」の話題から菌の温床といわれる「まな板」についてお伝えします。最近は、手軽な除菌スプレーなどが手に入りやすいので、ぜひ活用しましょう。

<衛生用語>

殺菌=食品の鮮度保持などを主な目的として、病原性や有害性を持つ菌などを死滅させること。
滅菌=有害・無害を問わず、対象物に存在しているすべての菌やウイルスを死滅させるか除去し、完全な無菌状態にすること。
消毒=有害のものや目的とするもののみ殺菌すること。対象物を使用しても害のない程度まで減らすことであって、滅菌のような無菌状態にはならない。
抗菌=菌の増殖を阻止すること。静菌と殺菌を含む。
静菌=低温保存などの手段により菌を殺さないがその増殖を抑えること。
除菌=対象物から菌を除いて減らすこと。

<まな板の使い方>

食材によって使い分ける

第1のポイントは「肉・魚・野菜、加熱・非加熱によってまな板を使い分ける」こと。食材別にする理由は、食材の育った環境によって付着している菌の種類が異なり、対処方法が異なるため、なるべく混ざらないようにすることが確実な殺菌、除菌につながるからです。

まな板を2枚用意するのが大変な場合は、100円ショップなどでも販売されている「まな板シート」がおすすめ。普段のまな板は野菜用、肉魚を切る時にはまな板の上に「まな板シート」を敷くとよいでしょう。野菜と肉、魚を両方切りたいときは、野菜を切った後に肉、魚を切るようにします。まな板はもちろん、包丁やその周辺に菌を広げないようにするためです。

熱湯消毒も有効

使ったまな板は、すぐに洗剤でよく洗うことが大切です。その後、60℃以上の熱湯を数秒かける、または漂白剤で消毒し、よく乾かしカビが生えないようにします。包丁も同様です。

よくある質問に、「抗菌加工されたまな板は、より衛生的なのか?」があります。加工されていないものよりも菌はつきにくいということですが、過信は禁物。取り扱いは普通のまな板と同じようにしましょう。またヒノキは抗菌力が強いと言われていますが、刃が当たって傷がつくと、菌の温床になるので洗浄と消毒は必要です。変色や黒ずみの原因になるので、漂白剤は使用できません。木製のまな板の天日干しは、「そり」の原因になる上に、日光の消毒力は期待ほど強くないので、「風通し」のよい日陰で乾燥させましょう。

食中毒の原因になる菌

最近も、ハチミツに含まれる「ボツリヌス菌」が原因で乳児の死亡事故がありました。一晩寝かせたカレーもとてもおいしいのですが「ウエルシュ菌」の温床になることもあります。

食中毒予防の3原則は、原因菌を「つけない・ふやさない・やっつける」。ノロウイルスなどのウイルス菌は「持ち込まない」「ひろげない」「つけない」「やっつける」。今回は家庭のまな板について書きましたが、詳しくは政府広報オンライン(http://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/)をご覧ください。

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