<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>

バナナは東南アジア原産の果実で、紀元前3000年頃には食べられていたようです。生食用と加熱調理して食べるものがありますが、日本で出回るものは生食用がメインです。現在は沖縄や九州南部など、国内でも栽培されています。

熟したものには害虫が付きやすいので、植物防疫法により未熟果しか輸入できず、国内で追熟させてから出荷されています。ほとんどの品種は完熟すると果皮にシュガースポットという茶褐色の斑点が出ます。完熟してもシュガースポットの出ない品種もあり、この場合は軸の部分まで黄色くなっていれば食べごろです。

シュガースポットが出たバナナ
シュガースポットが出たバナナ

果皮に色ムラや傷がなく、軸がしっかりして、黄色みがかったものを選びましょう。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
バナナは炭水化物、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、ビオチン、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガンなどが多く含まれています。

バナナの糖はショ糖がほとんどですが、でんぷん、ブドウ糖、果糖も含み、吸収される時間が異なるため、エネルギーが持続します。消化が良く、長時間にわたるスポーツなどのエネルギー補給に適しています。

バナナはアミノ酸のトリプトファンを比較的多く含みます。トリプトファンは神経伝達物質「セロトニン」の材料になります。セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンを制御し、精神を安定させるため、落ち着いた覚醒をもたらして平常心を保ち、自律神経を調節する働きがあります。

また最近では、GABAの含有量が多いバナナが機能性表示食品として販売されていいます。GABAは血圧降下作用により特定保健用食品に認定されています。GABAも神経伝達物質で、セロトニンと同じような働きをします。

抗酸化作用の強いポリフェノールも含まれています。バナナのポリフェノールは熟すほどに増えるので、シュガースポットが出てから食べるのがおすすめです。

期待される健康効果は、風邪予防、ガン予防、滋養強壮、貧血予防、生活習慣病予防、メンタル安定、腸内環境改善などです。

保存するなら
緑色でかたいものは追熟させます。保存に適した温度は14~20℃で、温度が低いと追熟しません。カーブしている部分を上にし、山なりに置くと、重みが分散して傷みにくくなります。

バナナはエチレンガスを出しやすい果実です。房のままだとバナナ同士のエチレンガスによって追熟が進むため、切り離して互いの影響を受けないようにした方が長持ちします。

熟したものは日持ちがしません。すぐに食べられない場合は冷蔵しますが、低温障害を起こしやすいため、新聞紙で包んでからポリ袋などに入れて野菜室で保存します。果皮は黒くなりますが、果肉にはあまり影響はありません。

冷凍する場合は果皮をむき、レモン汁をかけてラップで包み、保存袋に入れて冷凍します。そのまま食べるほか、ジュースにしても良いです。

スライスしてレモン汁をかけ、ザルに広げて3日ほど干すとドライバナナができます。自家製では乾燥が不十分な場合もあるので、乾燥剤を入れて冷蔵庫で保存し、2~3週間で食べましょう。

【管理栄養士・高木小雪】