<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>

セリは日本原産と言われるセリ科の緑黄色野菜です。野草から野菜になったものの1つで、春の七草の筆頭に挙げられています。古事記や万葉集にも記載があり、古くから食用とされてきました。白根草(しろねぐさ)、つみまし草という別名もあります。

出回っているものはほとんどが栽培品です。栽培品に比べて天然のセリは香りもアクも強いです。「5月のセリは食べるな」と言われますが、この時期に地上部がよく似たドクゼリが見られるからです。野草を利用する際は誤食しないように注意しましょう。

色鮮やかでみずみずしく、茎や根が太すぎず茎数の少ないものを選びましょう。鮮度が落ちると葉が黄色っぽくなってきます。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
セリはβカロテン、ビタミンK、ナイアシン、葉酸、鉄、マンガンなどが豊富に含まれています。

香気成分はファイトケミカル(フィトケミカル)です。ファイトケミカルは、植物が持つ自分自身を守る力で、強い抗酸化力があります。セリの香気成分には保温、発汗作用があり、冷え性によいとされています。また、鎮静効果、血栓予防、肝機能強化が期待できる成分も含まれています。

生薬名を「水芹(すいきん)」と言い、去痰、緩下、利尿、食欲増進などの効果があります。神経痛やリュウマチ、小児の解熱剤、黄疸などに用いられます。

セリは臭みをとる効果があり、鴨鍋やきりたんぽ鍋には欠かせない食材です。下ゆでする場合は根付きのままの方が栄養素の損失が少なくなります。茎の太さにもよりますが、10秒程度で氷水にとります。加熱は短時間がおすすめです。

だしが出るセリの根ごと使う「セリの鶏だしみそ汁」
だしが出るセリの根ごと使う「セリの鶏だしみそ汁」

期待される健康効果は、風邪予防、ガン予防、食欲増進、生活習慣病予防、冷え性軽減、骨粗しょう症予防などです。

保存するなら
セリはあまり日持ちしません。香気成分は揮発性で、日が経つにつれ減っていくので早めに使いましょう。

保存する場合は新聞紙に包んでからポリ袋に入れ、野菜室に立てて保存します。水で湿らせたキッチンペーパーを根元だけに当てておくと鮮度が保てます。グラスなどに生けておくこともできます。

香りや食感は劣りますが、冷凍保存も可能です。サッと湯にくぐらせ、使用するときの大きさに切って保存袋に入れ、冷凍します。使う分ずつ小分けするか、カチカチに凍る前に保存袋に入れたままバラバラにしておくと使う時に便利です。

解凍するとドリップと一緒に栄養素が流れ出てしまうので、凍ったまま調理します。1カ月ほどで使いましょう。

【管理栄養士・高木小雪】