<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>

ゆずは中国原産と言われるミカン科の果実で、酸味が強く、生食には向かない香酸柑橘の1つです。柑橘類の中では寒さに強く、青森県あたりまで広く分布しています。古くから各地で作られてきたため多くの品種があり、ゆずコショウ、ゆべし、ポン酢、ゆず茶などの加工品も多くあります。

未熟果を「青ゆず」と言い、夏に出回ります。果汁はやや少なめで、ゆずコショウに利用されるのは青ゆずが多いです。

夏に出回る「青ゆず」
夏に出回る「青ゆず」

ゆずコショウは青ゆずの果皮と青唐辛子と食塩をすり合わせた九州発祥の調味料です。コショウは入っていませんが、九州では唐辛子のことをコショウと呼ぶ地域があり、この名が一般的になったようです。黄ゆずと赤唐辛子を使ったゆずコショウもあります。

ゆずコショウ
ゆずコショウ

果皮がかたくツヤがあり、みずみずしく重さを感じるものが良品です。ヘタが茶色くなっていないものを選びましょう。ゆずの木にはトゲがあるため、風で果実に傷が付きやすく、傷付いたところから香気成分が抜けてしまうことがあります。なるべく傷がないものの方が良いでしょう。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
ゆずの果皮や果肉には、食物繊維とビタミンCが豊富です。果皮には果汁の4倍のビタミンCが含まれています。酸味のもとは有機酸で、疲労回復効果が期待できます。

香気成分はリモネンがほとんどですが、ゆず特有の香りはユズノンと言います。香気成分には、抗菌、殺菌、食欲増進、鎮痛、血行促進、利尿作用、リフレッシュ、リラックス、集中力アップなどの効果があります。ユズノンは果皮に含まれているので、果汁を搾る際は果皮からも汁を搾るか、皮ごと食べると無駄なく摂取できます。

雑煮や煮物などにゆずの皮を入れると香りが楽しめますが、少量なので摂れる栄養素は多くありません。多く摂る方法としては、ジャムやゆず茶、果汁を搾って利用するなどが考えられます。

ゆずは、食物繊維の中でも水溶性食物繊維のペクチンが柑橘類の中で一番多いので、ジャムを作るとしっかりとゲル化します。果皮の苦みが気になる場合は、水溶性のポリフェノールやビタミンCなどは損失してしまいますが、ゆでこぼすなどアク抜きをするとやわらぎます。

果実を浴槽に入れるゆず湯は、冷え性、肩こり、腰痛、神経痛の緩和に効果が期待できます。また、冷えてお腹の調子が良くない時などに、ゆず茶を飲むと、血行促進効果で体が温まり、香りによるリラックスとペクチンによる整腸作用で症状がやわらぎます。

ジャム状に煮ずに、さわやかなおいしさが楽しめる「フレッシュゆず茶」
ジャム状に煮ずに、さわやかなおいしさが楽しめる「フレッシュゆず茶」

期待される健康効果は、風邪予防、食欲増進、疲労回復、精神安定、ガン予防、糖代謝・脂質代謝改善、骨粗鬆症予防、免疫力向上、美肌効果、抗炎症作用などです。

保存するなら
丸ごと乾燥しないようにポリ袋などに入れ、野菜室で保存します。果汁を搾って瓶などに入れ、冷蔵庫で保存することもできます。自家製果汁は1~2カ月で使いきりましょう。

果皮を冷凍する場合は、細かく切らずにラップで包み、保存袋に入れて冷凍します。使うときに刻んだ方が香りは揮発しにくいです。搾り汁は製氷皿で冷凍すると使い勝手が良いです。

ジャムやゆず茶、ドライにして保存することもできます。

【管理栄養士・高木小雪】