<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>

梨は中国原産と言われるバラ科の果実です。日本での歴史も古く、弥生時代には食べられていたようです。

赤梨の品種の1つ「幸水」

梨は大きく「日本梨」「中国梨」「西洋梨」の3つに分けられますが、今回は日本梨を取り上げます。

日本梨は“石細胞”と呼ばれるシャリシャリとした食感が特徴です。果皮の色で「赤梨」と「青梨」に分けられます。品種により旬の時期が異なり、夏から1月頃まで次々に旬を迎え、長期間楽しめます。

青梨の品種の1つ「なつしずく」

赤梨は熟すにつれて果皮の色が赤みを帯びていきます。果皮がザラザラしますが、コルクのように水分の蒸発を防ぐなどの働きがあり、完熟するとザラザラは減ります。青梨は、緑色のうちはシャリシャリとした食感が強く、酸味があり、黄色くなると甘味が増します。

果肉が部分的に透明になり、傷んでいるように見えるものを「みつ症」と言います。ソルビトールという糖の一種が集まったもので、少しであれば甘味が強くおいしく食べられますが、広範囲の場合は石細胞が少ないため食感が劣ります。みつ症は外見からは分かりませんが、熟したものに多いようです。

軸が太くて果皮の色ムラがなく、ハリがあり、扁平で重みのあるものが良品です。基本的には追熟しませんので、好みの食べごろのものを選びましょう。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
梨に含まれている糖で多いのは、果糖とショ糖、ソルビトールです。果糖とショ糖は吸収されやすい糖で、運動前後のエネルギー補給に適しています。ソルビトールは清涼感があり、水分を保持して体を冷やす働きがあります。その他、タンパク質分解酵素も含みます。

抗酸化力の強いポリフェノールを含むため、切って放置すると褐変します。褐変すると抗酸化力は弱まります。水にくぐらせると軽減できますが、ポリフェノールは水溶性です。無駄なく摂取するためには、切ったらすぐに食べましょう。果頂部(お尻)と果皮の周辺が甘いので、気にならなければ果皮ごと食べることをおすすめします。

食感が良くないものは、すりおろすなどして調理に使うこともできます。タンパク質分解酵素が含まれているので、煮込み料理に使うと肉をやわらかくして消化を助け、甘味料の代わりにもなります。ただし、生でゼラチンゼリーに入れると固まりません。

民間療法には、皮ごと刻んで煮詰めた汁を飲むと、咳やのどの痛みに良いというものがあります。中国梨の一種は生薬にもなっています。

体を冷やしてくれるので、暑気あたりなどにも良いです。冷え性やお腹をこわしやすい方は食べ過ぎに注意しましょう。

期待される健康効果は、便秘改善、消化促進、疲労回復、風邪予防、喉の不調緩和、夏バテ緩和、生活習慣病予防などです。

保存するなら
早めに食べた方が良いですが、保存する場合は新聞紙などに包んでからポリ袋に入れ、軸を下にして野菜室で保存します。軸を下にすることで呼吸が抑えられ、劣化が遅くなります。

冷凍する場合は、食べやすい大きさに切るかピューレにして、保存袋に入れて冷凍します。利用するときは半解凍でそのまま食べたり、料理に利用したりするとよいでしょう。

【管理栄養士・高木小雪】