<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>

パイナップルは熱帯アメリカ原産と言われるパイナップル科の多年草です。痩せた酸性土壌でも栽培可能で、熱帯、亜熱帯地域で多く栽培されています。コロンブスが発見し、大航海時代に諸国へ広まりました。日本へは江戸時代にオランダ船によって持ち込まれたと言われています。1930年頃から沖縄で本格的に栽培が始まりました。流通しているもののほとんどはフィリピン産です。

パイナップルは追熟しません。置いておくと緑がかった果皮が黄色くなり、やわらかくなって酸味は抜けますが、糖度は上がりません。

葉の色が濃く、全体にふっくらと丸みがあり、お尻に重心がある下ぶくれ形が良いとされています。果皮が乾燥しているものや、やわらか過ぎるものは鮮度が低下しています。

果皮が緑色でも完熟しているものもあり、果皮が黄色くても酸味が強いこともあります。お尻の部分に弾力があり、甘い香りがするものを選びましょう。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
パイナップルはマグネシウム、銅、マンガンなどが多く含まれています。糖の種類はショ糖が主で、酸味のもとはクエン酸とリンゴ酸です。

マグネシウムは硬組織の構成成分で、また、神経や筋肉の機能維持に必要です。銅とマンガンは活性酸素を分解する酵素の構成成分になります。マンガンは骨や関節の結合組織づくりにも関与します。

ショ糖は吸収されやすい糖で、スムーズにエネルギーになります。持久運動後にクエン酸を摂取すると、消費したグリコーゲンの補給を助けるとの報告があります。また、運動後に糖と酸を一緒に摂取すると、疲労感が低下し、リラックス感が高まるといいます。運動後の摂取がおすすめです。

未熟な果実には「シュウ酸カルシウム」が特に多く含まれています。食べ過ぎると口腔内が荒れたり消化不良を起こしたりすることがあるので注意してください。

また、タンパク質分解酵素も含まれています。お肉などを柔らかくする効果がありますが、生のままゼラチンでゼリーを作ろうとすると固まりません。加熱するとこの効果はなくなりますので、ゼリーには缶詰を使うと良いでしょう。

期待される健康効果は、疲労回復、生活習慣病予防、ガン予防、消化促進、腸内環境改善などです。

保存するなら
パイナップルは追熟しないので、基本的に熟したものが収穫されます。早めに食べましょう。

保存する場合は、葉(クラウン)の根元を少し残して切り、新聞紙に包み野菜室で保存します。丸のままなら3~4日が目安です。カットしてあるものは冷蔵庫で保存し、2~3日で食べきりましょう。

冷凍する場合は、食べやすい大きさに切って保存袋に入れて冷凍します。半解凍でそのまま食べたり、ドリンクに氷代わりに入れたりしても楽しめます。

【管理栄養士・高木小雪】