<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>

クレソンはヨーロッパ原産で、アブラナ科の水生植物です。日本に入って来たのは明治初期で、当初は滞在する外国人向けに栽培されていたそうです。繁殖力が旺盛なため野生化し、各地の水辺で群生しています。和名はオランダガラシ。苦味と辛みがあります。

葉が濃い緑色で密生し、みずみずしく、茎が太いものが良品です。茎にひげ根が出ているものや曲がっているものは、収穫から時間が経っている可能性があります。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
βカロテン、ビタミンK、ビタミンB群(B1、B2、B6、葉酸、ビオチン)、ビタミンC、カリウム、カルシウム、鉄などのビタミン、ミネラルが豊富で、グルコシノレートも含んでいます。

グルコシノレートはアブラナ科に共通する成分で、細胞を破壊することによってアリルイソチオシアネートを生じます。この成分は辛味があり、抗ガン作用、抗菌作用、消化促進作用があると言われています。肉料理によく添えられているのは、味の相性や彩りだけでなく、胃もたれや口臭予防、後味をさっぱりさせるなどの効果があるためです。

βカロテン、ビタミンKは油脂と一緒に、ミネラルは酸やタンパク質と一緒に摂ると吸収率が上がります。

期待される健康効果は、風邪予防、貧血予防、疲労回復、美肌効果、ガン予防、生活習慣病予防、骨粗鬆症予防、消化促進などです。

保存するなら
クレソンは水生植物のため、すぐにしおれてしまいますが、丈夫なため水を入れたグラスなどに生けておくと蘇ることが多々あります。そのまま根が伸びてきて栽培することもできますが、香気成分は揮発性ですし、栄養素は損失していきますので早めに使うようにしましょう。

すぐに使えない場合は、水で湿らせたキッチンペーパーを切り口にあて、水分が蒸発しないように全体をポリ袋で包み、野菜室に立てて保存します。

水溶性の成分や揮発性の成分は減り、食感は失われますが、生のまままたはゆでて冷凍することもできます。1カ月ほど日持ちし、利用する際は、解凍するとドリップと一緒に栄養素が流れ出てしまいますので、凍ったまま調理すると良いでしょう。

【管理栄養士・高木小雪】