新型コロナウイルス感染症対策で免疫力、抵抗力を高める食品としてヨーグルトが注目され、一時はスーパーなどで品切れになってしまうほどでした。ヨーグルトにも多く含まれる乳酸菌の何に効果が期待できるのか、もう一度確認してみましょう。

乳酸を作る細菌類の総称

乳酸菌とは、代謝によって乳酸を産生する細菌類の総称で、たくさんの種類があります。乳酸菌が糖類を利用して乳酸を作る過程を発酵と言います。

乳酸菌が腸内で乳酸を作り、腸内環境を酸性にすることで、有害な菌(悪玉菌)や雑菌の繁殖を抑制します。蠕動(ぜんどう)運動を促して、腸の動きも良くします。乳酸などの短鎖脂肪酸は直接、大腸のエネルギーにもなるので、大腸の粘膜を強化し、細菌などの有害物質が浸透するのも防ぎます。

また、乳酸菌は乳酸だけでなく、多糖類なども産生します。この多糖類がNK(ナチュラルキラー)細胞といった免疫細胞を活性化し、免疫力アップにつながると言われています。

生きていても死んでいても効果あり

生きたままの生菌だけでなく、死んでしまった死菌にも効果はあります。死菌は善玉菌のエサとなり増殖させる、悪玉菌が好む有害物質を吸着して便と一緒に体外へ排出する、腸の壁に刺激を与え免疫細胞の分泌を促進し、免疫力をアップするといった効果があります。つまり、生菌、死菌に関わらず、免疫力を上げる効果が期待できます。

国立健康・栄養研究所は「現時点では、乳酸菌が新型コロナウイルスに効果を示すという報告はない」と発表しています。ただし、インフルエンザには効果があったという報告があるので、今後の研究に期待しつつ、食事から腸内環境を整えることを継続していきたいですね。

まずは手洗い、うがい、アルコール消毒、「3密」を避けるなど、できることを取り入れていきましょう。

【管理栄養士・今井久美】

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