先日、都内の幼稚園で赤痢に集団感染したというニュースがありました。給食が原因ではないという見解ですが、細菌が付着した手指や食器などから感染することがあるといいます。

もし、家族や周囲の人が細菌やウイルスに感染した場合、うつらないためにはどうしたらよいでしょうか。手洗いの徹底は最も重要ですし、日頃から免疫力を上げ、抵抗力を高めることも大切です。家族が発症した場合、感染者に関わらないわけにはいきません。感染を拡大させないため、使用した食器や器具を殺菌する方法を紹介します。

アルコールや熱湯消毒

インフルエンザ

インフルエンザはアルコールや熱に弱いため、使用した食器類を熱湯で消毒。感染者が触ったドアノブやトイレの便座、階段の手すりなどはアルコールでふき取るのが有効です。

塩素系漂白剤を使って殺菌

ノロウイルス

しかし、ノロウイルスにはアルコールは効果がありません。塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウムなど)を使用した殺菌が有効です。これは、インフルエンザやヘルペスウイルス、腸管出血性大腸菌O157など食中毒菌にも効果があります。

次亜塩素酸ナトリウムの濃度は濃くなるほど殺菌力は強くなりますが、ノロウイルス対策で効果のある濃度は200ppm(0.02%)以上。食中毒予防では100~200ppmで使用されています。

例えば、食器やまな板、ドアノブを消毒する場合、花王のキッチンハイターは水5lに対し50ml(キャップ2杯)。カネヨ石鹸のキッチンブリーチは製品の濃度によりますが、ライオンハイジーンのパワーブリーチは濃度が6%なので、水3lに対し10ml入れると200ppmになります。これに、使用した食器などを5分以上浸けてから水洗いします。ドアノブなどは、これに浸したタオルなどで拭いた後に水拭き。嘔吐物を拭く場合は、1000ppm(0.1%)の濃度のものが有効です。

使用上の注意をよく読んで

次亜塩素酸ナトリウムは、漂白作用やタンパク質を溶解・変性させる作用もあるので、変色する素材や使用できない素材もあるので、ご注意ください。塩素系漂白剤はアルカリ性のため、酸性のものと一緒に使用すると、有害な塩素ガスを発生するので使用禁止です。使用する時は、手荒れしないよう手袋を使用してください。

最近では、殺菌作用が速い「次亜塩素水」も販売されています。こちらは手荒れの心配がなく、低い濃度(10~50ppm)で同等の殺菌効果があります。

また、ノロウイルスには熱湯消毒も有効です。食器洗浄機には80℃以上の湯で洗うタイプもあるので、お持ちの方は感染症対策に使用すると良いでしょう。

【管理栄養士・今井久美】

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