練習や試合時の補食として人気のカステラ。以前アスレシピに「シンプルカステラ」のレシピを投稿してくれたサポーターの稲葉祐紀子さんに教わり、アスレシピ編集部員が初めてのカステラ作りに挑戦しました。日頃お菓子作りをほとんどしない私でもうまく作れるのか? レポートします。【アスレシピ編集部・真鍋千絵美】

最初にして最大の山場?新聞紙で型作り

カステラは油脂が入らないため消化が良く、スポーツ時の補食に向いています。コンビニなどでも手軽に買えますが、稲葉さんは甘さを自分好みにアレンジしたいと考え、試作を繰り返してレシピを考案したそうです。

さぁ、作るぞ~と気合いの入る私に、「では、型から作っていきましょう」と稲葉さん。え? 型からですか?

「カステラは砂糖が大量に入るため、金属の型で焼くとカリカリになってしまうんです。家庭で作る場合は、この新聞紙の型が火の当たりがやわらかくて、とても上手に焼けるんですよ」とのこと。

うーん、そうなのか。気を取り直し、型作りに取りかかりました。

<新聞紙の型作り>
用意するもの
新聞紙(一般的なサイズ)…5~6枚
アルミホイル
オーブンペーパー
ハサミ
ホチキス

(1)新聞紙を広げてきちんと重ね、正方形を切り出す。

新聞紙は見開き大で使います。5枚をきちんとそろえ、短い辺を長い辺に合わせて対角線で折ります
新聞紙は見開き大で使います。5枚をきちんとそろえ、短い辺を長い辺に合わせて対角線で折ります

余った部分を切り離して完成
余った部分を切り離して完成

(2)図の赤線部分(4カ所)を切り、点線で半分に折る。ヒラヒラした部分を巻き込みながら箱型に整え、四隅をホチキスで留める。

赤線部分を切り、点線を内側に折って箱型にします
赤線部分を切り、点線を内側に折って箱型にします

切り込みを入れ、点線部分を折ったところ
切り込みを入れ、点線部分を折ったところ

ヒラヒラした部分を巻き込みながら箱型に整え(左)、四隅をホチキスで留めます
ヒラヒラした部分を巻き込みながら箱型に整え(左)、四隅をホチキスで留めます

(3)内側にアルミホイルを十字に敷き込み、その上にオーブンペーパーを重ねる。流した生地が角から流れ出ないよう、型の隅までしっかりアルミホイルとオーブンペーパーで覆う(焼き上がったら型を外すので、クッキングシートはホチキス留めしない)。

型の隅までしっかりアルミホイルで覆います
型の隅までしっかりアルミホイルで覆います

切り落としがなるべく少なくなるよう、角までしっかりオーブンペーパーを敷き込みます。む、難しい…
切り落としがなるべく少なくなるよう、角までしっかりオーブンペーパーを敷き込みます。む、難しい…

(4)180℃に予熱したオーブンで、型だけを5分ほど下焼きする(インクのにおいが気にならなくなる)。

18cm×18cmよりも少し大きくなりましたが、何とか無事に型が完成しました
18cm×18cmよりも少し大きくなりましたが、何とか無事に型が完成しました

大きな新聞紙の扱いは思いのほか難しく、四苦八苦する私。まさかカステラ作りに来て工作をすることになるとは。不思議な気持ちになりながら、ようやく型が完成しました。

材料はシンプル、ハンドミキサーは必需品

いよいよカステラの生地作りです。今回教わったのは、はちみつ入りのレシピです。カステラって強力粉を使うんですね。

「はちみつカステラ」の材料(18cm×18cmの型1台分)
強力粉…200g
卵…8個
砂糖…250g
はちみつ…80g
湯…50ml
油…適量

今回使用する卵は8個。なかなかの分量です。大きなボウルに卵を割り入れ、砂糖を一度に加えて泡立て始めます。量が多いので、ハンドミキサーがあると便利。というか、ないと日が暮れそうです…。

軽くほぐした卵に砂糖を一度に加え、泡立て始めます
軽くほぐした卵に砂糖を一度に加え、泡立て始めます

白くもったりとしてきたら、湯でのばしたはちみつを加え、さらに泡立てます。

どんどんもったりしてきます
どんどんもったりしてきます

ホイッパーを持ち上げ、生地でのの字が描けるくらいになったら、ふるっておいた粉を3回に分けて加えます。底の方に粉がたまらないよう、その都度ハンドミキサーでしっかり混ぜ合わせます。

粉を加えるとぐっと重くなります
粉を加えるとぐっと重くなります

全体に粉が混ざったら、天板に乗せた先ほどの型に流し入れます。泡立ちすぎている生地の比重を下げるため、ザルで濾しながら入れていきます。

今回指導してくれた稲葉さん(左)の手を借りながら、生地を型に流し入れます
今回指導してくれた稲葉さん(左)の手を借りながら、生地を型に流し入れます

表面をならしたら、天板ごと調理台に2、3回落として大きな気泡を消し、180℃に予熱したオーブンで焼き始めます。

ここからが大忙し!繰り返し取り出して泡切り

あとはのんびり焼けるのを待つだけ! と思いきや、そうはいきません。ここからが大忙しです。

3分たったところで型を取り出し、表面に霧を吹いたら型の内側にぐるりと耐熱のゴムベラを差し入れ、生地を底からしっかり混ぜます。え、混ぜちゃっていいんですか?

1回目の泡切り。型に沿ってぐるりと耐熱のゴムベラを差し入れ、生地を底からしっかり混ぜます
1回目の泡切り。型に沿ってぐるりと耐熱のゴムベラを差し入れ、生地を底からしっかり混ぜます

「強力粉で作るカステラの泡は消えないので、しっかり混ぜて大丈夫ですよ」。(稲葉さん)

そうなんだ。おっかなびっくり混ぜて再びオーブンへ。また3分たったら取り出し、同じ作業を繰り返します。ただし、今回は底の方が焼け始めているので、中間層から上だけをほぐし混ぜるとのこと。ひぇ~、難しい!

さらに3分焼き、再び取り出して同じことを繰り返します。ぐるりとゴムベラを差し入れたら、今度は上層部だけを混ぜてならし、再びオーブンへ。ここから20分ほど焼き、焼きムラをなくすために天板の前後を入れ替え、さらに20分ほど焼いたら完成です。

焼きムラができないよう、途中で天板の前後を入れ替えます
焼きムラができないよう、途中で天板の前後を入れ替えます

オーブンから出てきたカステラはこんがりと焼けて、一同「おぉ~」と大歓声! つややかな焼き上がりもさることながら、部屋中に漂う甘い香りにも癒されます。

ジャーン! どうですか、この焼き上がり!
ジャーン! どうですか、この焼き上がり!

粗熱が取れたら新聞紙とアルミホイルの型を外し、油を薄く塗ったオーブンペーパーをかぶせて冷まします。しっかり冷めてから切らないと断面がモロモロになってしまうとのことなので、ウズウズしながら待ちます。満を持してナイフを入れると…。

断面もこの美しさ!感激!
断面もこの美しさ!感激!

「わ、カステラだぁ!」。見目麗しきツートンカラー。感動のあまり、しばし見とれてしまいました。型を大きく作り過ぎたので厚みは出ませんでしたが、大満足の焼き上がりです。

「1日置いてからの方がおいしいですよ」とのアドバイスにうなずきつつも、切り落としをさっそく試食。外はカリッと、中はふわっとして「あま~い! おいし~い! 自分で作ったなんて信じられな~い」。つまむ手が止まりません。

切り分けて箱に納めたらまるで市販品のよう。家族にもほめられて、鼻高々です。今回のように大きな型で焼けば、チームへの差し入れにも活用できそうですね。

手作りのカステラはなるべく早めに食べるのが望ましいですが、すぐに食べない分は冷凍保存もできます。カステラは糖度が高いので、カチカチに凍ることはないそう。冷凍でも1、2週間で食べきるのがおすすめです。

箱に納めたらまるで市販品
箱に納めたらまるで市販品

作り終えての感想は、カステラの生地そのものはハンドミキサーがあればラクラクながら、新聞紙での型作りや大忙しの泡切りが難所かも? でも、そんな苦労も完成品をパクリと口に入れれば一瞬で吹き飛びます。楽しくておいしいカステラ作り、皆さんもぜひチャレンジしてみてください!

<はちみつカステラ>

補食の定番「はちみつカステラ」を作ってみた

材料(18cm×18cmの型1台分)
強力粉…200g
卵…8個
砂糖…250g
はちみつ…80g
湯…50ml
油…適量

作り方
❶オーブンを180℃に予熱する。オーブンの予熱が終わったら、型だけを5分ほどから焼きする。粉はふるっておく。
❷ボウルに卵を割り入れて軽くほぐし、砂糖を全量加えてハンドミキサーで泡立てる。白くもったりしてきたら湯でのばしたはちみつを加え、垂らした時にのの字が描けるくらいまで泡立てる。
❸ふるっておいた強力粉を3回に分けて加え、その都度ハンドミキサーで混ぜ合わせる。全体がしっかり混ざったら、天板の上に乗せた型にザルで濾しながら流し入れ、天板ごと調理台に2、3回落として大きな気泡を消す。
❹180℃のオーブンで焼き始める。3分焼いたら取り出し、表面に霧を吹き、耐熱のゴムベラを型に沿ってぐるりと差し入れ、生地を底からほぐし混ぜて泡切りする。表面をならし、さらに焼く。
❺また3分たったら取り出し、④と同様に泡切りする。底の方は少し焼けてきているので、中間層くらいから上をほぐし混ぜて表面をならし、さらに焼く。
❻また3分たったら取り出し、同様に泡切りし、今度は上層部のみをほぐし混ぜて表面をならし、さらに焼く。
❼20分ほど焼いたら天板の前後を入れ替え、さらに20分ほど焼く。
❽オーブンから取り出して新聞紙とアルミホイルの型を外し、油を薄く塗り広げたオーブンペーパーをかぶせて冷ます。

※焼き時間はオーブンの機種によって変わります。様子を見ながら調整してください。
※切り分けるのはしっかり冷めてから。波型のナイフを使い、切るたびに食品用アルコールで濡らすときれいに切れます。
※1~2日たつとさらにおいしく食べられます。すぐに食べない場合はラップで包んで冷凍し、1~2週間以内に食べきってください。

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