肉料理の下ごしらえに入れるのは

唐揚げなどの肉料理の下ごしらえで、すりおろしたショウガを入れたことはありませんか。「豚肉のショウガ焼き」という料理があるように、肉にショウガが使われるのはどうしてでしょうか。

肉の臭み消し
ショウガの香りが肉の臭みや油臭さを軽減する。ショウガには「ジンゲロール」や「シネオール」などの香気成分の精油が含まれています。

肉を柔らかくジューシーに仕上げる
ショウガに含まれる成分の「ジンギパイン」は、肉を柔らかくするタンパク質分解酵素の1つ。室温で15分程度付け置きすることで酵素が働き、より柔らかくなります。料理酒をプラスすると、日本酒は弱酸性のため(pH4.2~4.7)、よりタンパク質分解酵素が働いて柔らかさがアップ。肉の保水力が上がるのです。

タンパク質分解酵素は生のショウガに含まれているため、市販のチューブのショウガは加熱殺菌の過程で酵素が失活しています。市販のチューブを使うときは、あくまでも風味漬け、肉の臭み消しを目的としましょう。

※参考:タンパク質分解酵素
ゼリーを溶かす生パイナップルの不思議

ショウガの消臭作用

肉の臭み消しなど消臭作用は以下の3つのメカニズムに分かれます。

(1)化学的作用(魚の生臭いアミン臭を酸性で中和)
(2)物理的作用(活性炭などに吸着、加熱で飛ばす)
(3)感覚的作用(におい成分をマスキングして感じにくくする)

ショウガが効果を発揮するのは(3)の感覚的作用。香味野菜の1つということもあり、ショウガオールなどの香り高い成分が、肉や魚の臭さをマスキングしてくれるとい言われています。

ショウガの保存法

そんなショウガは冷気や乾燥が苦手なので、野菜室(13~15℃)で保存しましょう。古根ショウガは濡らした新聞に包んで入れておくとよいそうです。

私は、体を温めることにショウガを使うことが多いので、大量に買ってスライスし、一気に蒸して、その後、天日干しやオーブンで乾燥させて長期保存させておきます。料理を作る時や紅茶を飲む時に一緒にいれて楽しんでいます。

ショウガミルクプリンを作ってみよう!

それでは、最後に「ショウガプリン」の作り方を紹介します。ショウガのタンパク質分解酵素が一度、タンパク質を分解し、再度牛乳のタンパク質も一緒に固めることでプリンが作れるのです。

香港を代表する人気スイーツですが、温度によって固まるか固まらないかはそのとき次第。成功するかどうか、実験だと思ってチャレンジしてみてください。

材料
・牛乳(成分無調整、可能であればノンホモ牛乳)…150cc
・はちみつ…大さじ1
・ショウガの絞り汁…大さじ1
※ショウガは絞りたてのもの

作り方
1、牛乳とはちみつを小鍋に入れて温度70℃まで温める(沸騰しないように注意)
(65度以上にすると熱によって牛乳の乳製タンパク質ラクトグロブリンが分解されて固まる力が弱くなる)
2、小さめのカップにショウガ汁を入れておく
3、牛乳を勢いよく入れて、優しくかき混ぜて放置する。かき混ぜすぎない
(65℃を超えるとタンパク質分解酵素が働きにくくなるので、この時の牛乳の温度は58~65℃がベター。ショウガの酵素の力は、20分置いておくだけでポリフェノールオキシターゼのせいで半減してしまうので絞りたてを用意しておく)
4、常温で5~10分待ったら出来上がり!

※温度が重要。牛乳の温度が低いと固まらないので、その場合は電子レンジで10~20秒温める。