茶色と透明な水あめ、味が違う理由

さて、同じ「水あめ」でも、メーカーによって味が違うと思ったことはありませんか? また昔ながらの茶色の水あめもあれば、透明なものもあります。これは、製法の違いです。説明しましょう。

麦芽糖化法=麦芽に含まれるアミラーゼででんぷんを分解したもの。黄褐色(あめ色)で独特な風味を持つ。麦芽糖の比率が比較的高い。
酸糖化法=酸の作用ででんぷんを分解したもの。無色透明。デキストリンとブドウ糖の比率が比較的高い。

そもそも、水あめというのは、サツマイモや米などの「でんぷん」を糖化したもの。ご飯に米麹を入れると麹甘酒ができたり、ご飯をよく噛んで食べると口の中で甘くなったり、パンを長時間発酵すると小麦の甘さが引き立ったりするのと同じ原理です。

その中で、茶色い「麦芽水あめ」は、温かい温度による加熱で麦芽に含まれる酵素が働き、でんぷん(多糖類)が麦芽糖(二糖類)へ変化したもので、ほのかな甘みが特徴です。

一方、透明な水あめは最近、工業的に作られるようになったもの。加水分解など酸による化学反応が主流(人工的に酵素で糖化する方法もある)で、これによってでんぷん(多糖類)は麦芽糖(二糖類)に、また反応がそのまま進み、ブドウ糖(単糖類)まで変化します。そのため最終的にできる水あめは、ブドウ糖(単糖類)の割合が多く、甘さがより際立つようになります。

つまり、ほのかに甘い二糖類が多い麦芽水あめは、単糖類のブドウ糖である透明な水あめよりも、比較的ゆっくり吸収消化されながらエネルギーになるという特徴があります。素早くエネルギーに変えたい場合、ゆっくりと長くエネルギーを保ちたい場合と、同じ水あめでも目的によって使い分けられるといいですね。

水あめの料理活用法

水あめの定義は、でんぷんを酸や酵素で低分子の糖質に加水分解(糖化)して作られた粘液状の甘味料で、ブドウ糖、麦芽糖、デキストリンなどの混合物のこと。でんぷんを分解する過程で出てくるデキストリンが粘りを持っているのです。

このほか、麦芽水あめには色々な特徴があるので、それを生かした活用法は以下のようなものがあります。頭に入れて、料理のワンポイントとして生かしてください。

①甘みを抑えたい時に
前述の通り、麦芽水あめは優しい甘さのため、砂糖と比べると甘みの感じ方は6割程度なので、甘みを抑えたいときに使われます。

②料理の照り出しに
砂糖の結晶化を防ぐため、なめらかな口当たりを保ち、料理の照り出しに使われます。お菓子作りでは、生チョコやキャラメル作りの際に砂糖の再結晶化を予防する「シャリ止め」として使われます。

③しっとりさせたい時に
粘度が高いため、保湿性に優れており、パウンドケーキやカステラなどつくるときに使われます。この時、水あめには20~25%の水分が含まれているため、水分を減らす必要があります。