<ママ特派員・サポーターから>

寒さが厳しくなる時期、サッカーをしている小学生の息子は、毎週末に公式戦や招待試合があります。

先日も県大会の予選が、自校を会場として3週に渡って行われました。天気予報とにらめっこをしつつ、保護者や指導者も早朝からフィールドや会場の設営に尽力しました。

この期間は、子どもたちよりも早く保護者が会場入りし、各役割に張り付きになってしまいます。そのため、前日や当日のとても早い時間に、当日持たせる食事や補食の用意をしなければなりません。

タイトな試合時間を考慮しながら、この極寒の時期、何をどう持たせようかと考えていたのですが、「たくさん作ってチームみんなで同じものを食べてもいいかもしれない…」と思い立ち、チームメイトのお母さんたちに話を持ち掛けてみたところ、大賛成をいただくことができました。

せっかくなので有志を募って補食を手作りすることにし、前の晩から一緒に下ごしらえをしました。

食事時間が十分に確保できる日ばかりではなく、食べる前後にも試合がある日もありました。そこで、補食や軽い昼食としての条件を満たす内容で、かつ短時間で速やかに栄養補給ができて食べやすいものをと考えました。

また、みんなで同じものを食べることになるため、身体面や衛生面にも留意しました。子どもたちのアレルギーを再度確認し、その品目を含まないこと、当日朝には75度で1分以上の再加熱ができることなどにも気を付けました。

試合後は急激に体が冷えるため、温かいものを提供したいと考えましたが、学校敷地内は火気厳禁。火を使う調理器具を持ち込むことができないため、保温調理鍋を使いました。我が家には日常的に使っている4リットルの保温調理鍋があるのですが、同容量の鍋を持っている家庭がもう一軒あり、2鍋(計8リットル)で20人分の補食を作成しました。

メニュー1「ほうとう風みそうどん」

繊維質の多いゴボウやシイタケは入れず、冬場アスレシピにもよく登場する栄養価の高いカボチャや、消化の良い野菜をメインにしたみそ仕立ての汁物にうどんを入れました。汁は前夜に作りましたが、麺を汁に入れておくと溶けてしまうため、小分けになった市販の冷凍うどんを使用。当日電子レンジで加熱し、ふたつきの発泡スチロールに入れ、汁とは別に運びました。全部飲めるようにと塩分にも気をつけて作った汁は、カボチャの甘味が生きた優しい味に仕上がりました。

小分けになった冷凍うどんをレンジで温め、袋のまま発泡スチロールの容器へ。いっぱいに入ると、保温効果も長くなります
小分けになった冷凍うどんをレンジで温め、袋のまま発泡スチロールの容器へ。いっぱいに入ると、保温効果も長くなります

メニュー2「オニオングラタンスープ」

子どもによって試合時間が違い、補食を摂るタイミングが一律ではない日に提供したのが、オニオングラタンスープです。

前夜に大量のタマネギを切り、あめ色に炒めてスープを作りました。通常のオニオングラタンスープは、スープにフランスパンを浮かべ、チーズを振りかけてオーブンで焼き上げますが、外ではそれはできないため、パンはあらかじめチーズラスクにしておき、後乗せできるように工夫しました。

スープに浮かべて食べれば即席のオニオングラタンスープ風になりますし、好みに応じてラスクとスープを別に食べることもできました。糖質もタンパク質も摂れる、体が温まる補食になりました。

チーズラスクは好みに応じて、スープに浮かべても別々に食べてもOK
チーズラスクは好みに応じて、スープに浮かべても別々に食べてもOK

チームスポーツは、フィールドでプレーをする選手だけではなく、ベンチで試合を応援する子どもたちもいます。チーム一丸となって闘うためには、練習のほかにも同じ時間を共有することで生まれる連帯感も大切ではないかと思っています。「同じ釜の飯を食う」という言葉がありますが、同じものを食べる時間や経験は、子どもたちの心をつなぐことにも一役買っているかもしれません。

日中でも冷える冬の試合。保護者同士でアイデアを出し合いながら作った温かい補食を子どもたちが笑顔で頬張る様子は、子どもたちの体はもちろん、私たち保護者の心も一つにし、温めてくれる光景でした。

【ママ特派員=神奈川県在住・稲葉祐紀子】