<キッチンは実験室(5・上):ホウレン草の緑色の秘密>

 みなさん、こんにちは。キッチンの科学プロジェクト(KKP)の「みせす」です。今回は、暑い夏を乗り切るためのスパイスたっぷり緑のカレー、「サグカレー」作りにちなみ、2回に分けてホウレン草の緑色の秘密に迫ります。

 ホウレン草には「マグネシウム」というミネラルが含まれています。実験を通して、身近な食べ物の不思議を調査するので、夏休みの自由研究がまだの方、参考にしてくださいね。

ゆでると鮮やかになるのはなぜ?

 はじめに「ゆで実験」をしてみましょう。

<実験1:手順>
①1~3のホウレン草を用意し、以下の状態にする
 ホウレン草1…生そのまま
 ホウレン草2…沸騰水に1分さっとゆでる
 ホウレン草3…沸騰水で5分ゆでる

 ホウレン草が緑色なのは、緑色の成分「クロロフィル」があるからです。クロロフィルは、中にマグネシウムを含んでいます(配位結合)が、ゆでるとマグネシウムが抜けて「クロロフィリン」という別の物質に変化します。このクロロフィリンこそ、鮮やかな緑色の正体です。

 それでは、ゆですぎるとどうなるでしょうか。何と、茶褐色になってしまいます。これはマグネシウムの代わりに水素イオンが入り「フェオフィチン」という茶褐色の物質になったからです。

 ホウレン草をゆでるという、単純な行為の中にも化学変化が起きていたのです。沸騰したお湯に入れるのは、ゆで時間を短くするため、ゆでた後に冷水で冷やすのは粗熱をとるためです。

色が変化、pHと緑色の関係

 今度は、鍋にそれぞれ酢と重曹を入れてゆでてみましょう。

<実験2:手順>
①A、Bの鍋を用意し、お湯を沸かして酢と重曹を加える
 鍋A:重曹を大さじ2入れる
 鍋B:酢を大さじ2入れる
②沸騰したらホウレン草を強火でゆがく。
③1分後、2分後、3分後で色の変化を観察し、5分たったらそれぞれ取り出す。

 酢を入れてゆでたホウレン草は、クロロフィルに水素イオンが置き換わり、茶褐色のフェオフィチンになりましたが、重曹を入れた方は、鮮やかな緑色のクロロフィリンのままでした。このフェオフィチンになった水素イオンの濃度のことを「pH」と言います。pHが低い酸性の酢でゆでると水素の影響を受け、pHが高いアルカリ性の重曹水は、水素の影響を受けなかったのです。

(次回に続く)

金子浩子

子ども向け食育ボランティア団体「キッチンの科学プロジェクト(KKP)」代表・講師
東京薬科大生命科学部卒/群馬大学大学院修士(保健学)。中・高校教諭一種免許状(理科)取得
国際薬膳師・国際薬膳調理師・中医薬膳師。キッズキッチン協会公認インストラクター。エコ・クッキングナビゲーター