「冷え性で悩んでいます。良い食べ物はないでしょうか?」

アスリートは、運動をしていない人に比べて筋肉量が多いため、冷え性はそこまで多くないと言われていますが、このような相談が多いのも事実。冷え性で悩んでいる成人の女性選手も少なくありません。

筋肉量が少ないと冷え性になりやすい

「冷え性」とは文字通り、体が冷えるということです。筋肉量が少ないと基礎代謝が下がり、熱が発生しにくくなるため、体が冷えやすくなります。体に必要なエネルギーを生産できなくなり、全身にうまく行き渡らないためです。

脂肪は、一度冷えると温まりにくくなります。一般的に女性は、男性よりも筋肉量が少なく脂肪が多いため、男性より冷えやすい体質なのです。

冷え性の選手はタンパク質が足りていない

冷え性で悩む選手の食事を見せてもらうと、タンパク質の摂取が少ない傾向があります。タンパク質を多く含む食品は、肉、魚、卵、牛乳・乳製品、大豆、大豆製品ですが、特に1人暮らしの学生選手は、ご飯やパンといった主食メインでタンパク質が少ないなどバランスが悪かったり、1日の食事の中に一度も魚や肉などのタンパク質のおかずがなかったりすることが多く見られます。

食事をした後、体が温かくなるのは食事誘発性熱産生によるもので、体の中で消化吸収するためにエネルギーを使うことで体温が上がります。栄養素によって熱の産生量は異なり、タンパク質のみを食べたときは摂取エネルギーの約30%、糖質のみの場合は約6%、脂質のみの場合は約4%で、通常の食事はこれらが合わさって約10%程度になります。つまり、タンパク質を多く食べた方が熱を多く産生し、体が温まるのです。

また、タンパク質は筋肉や骨など体の材料です。タンパク質を多く含む食品をとることで筋合成が促され、トレーニングによってさらにその速度も速まります。逆に言うと、タンパク質が不足すると筋肉を作ることや作り変えることすらできなくなり、筋量の低下につながります。

普段の食事から十分なエネルギーとタンパク質、それらに関わる栄養素をしっかり摂って活動することで、日常使う筋肉を維持することができます。食事のバランスが崩れたり、タンパク質が不足したりすると冷えにつながることを覚えておきましょう。

今回は、良質のタンパク質である豚肉をカレーで下味をつけた「タンドリーポーク」を紹介します。タンドリーとは、インド料理で使う「タンドール」という壺形のかまどで焼く料理のことですが、フライパンを使って焼き上げましょう。ヨーグルトとカレー粉などの香辛料を混ぜた調味料に肉を漬け込むことで、味わい深く柔らかいお肉に仕上がります。

管理栄養士・舘川美貴子