1人暮らしをする選手からの質問です。

「魚が苦手です、魚は“体に良い”と聞きますが、1人暮らしをしているとなかなか食べることができず、ついついお肉を選んでしまいます。おすすめの魚、食べ方はありますか?」

このように、魚が苦手だったり、なかなか食べる機会がなかったりする選手も多いのではないでしょうか。特に1人暮らしの学生さんには多いと思います。

便利さ、調理しやすさを考えると、ツナ缶やサバ缶などの缶詰やかまぼこなどの加工品を利用する手もありますが、栄養やおいしさを考えると、やはり旬の魚を食べて欲しいものです。

日本には四季があり季節の野菜や食材がとれます。旬の食材の栄養素は高くなり、価格も安定して手に入れやすくなります。今回は秋が旬の魚、サンマ(秋刀魚)の栄養について紹介していきます。

良質な脂質やビタミンを含むサンマ

サンマはダツ目サンマ科の海水魚で、旬は9~11月頃になります。多く含まれる栄養素はタンパク質、カルシウムのほかEPA、DHAなどの良質な脂質、ビタミンD、ビタミンB12があります。

EPA(エイコサペンタエン酸)は不飽和脂肪酸の一種で、血液をサラサラにして血流を良くする働きや、脳血栓や心筋梗塞などの血管内の血液がつまる病気を予防する効果があります。また、炎症を抑える作用があり、現在は筋肉痛を緩和する可能性が研究されています。

DHA(ドコサヘキサエン酸)も不飽和脂肪酸の一種で、血管そのものの柔軟性を高め、血栓を溶かす働きがあり、動脈硬化や心疾患、高血圧の予防効果が期待できます。EPAと働きが似ていますね。また、脳の神経細胞の情報伝達をスムーズにする働きがあり、記憶力や言語能力などの認知機能の改善に働きます。

ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進させる効能があります。歯や骨を構成するカルシウムの濃度を高めることで丈夫な骨を作ることに役立ちます。また、筋のタンパク質合成を刺激し、筋肉作りをサポートします。

ビタミンB12は、水に溶ける水溶性ビタミンです。骨髄の造血機能を活性化させて、赤血球中ヘモグロビン生成を助け、脳からの指令を伝える神経を正常に保つ役割もあります。また、不足すると赤血球の減少、悪性の貧血がみられます。

脂ののったサンマはとてもおいしいですよね。「脂がのる」ということはつまり、脂質やエネルギーは若干、多いのですが、EPAやDHAは良質な脂質です。秋のおいしい味覚として、ぜひ取り入れて欲しいものです。

今回のメニューは「サンマと秋野菜の焼きびたし」です。サンマは自宅で3枚におろせますが、すでにおろしたものが売られているので、それを使うと手軽に作れます。また、今回は秋野菜としてマイタケ、シメジ、サツマイモ、レンコンを使用していますが、お好きな野菜を使っても大丈夫です。

管理栄養士・舘川美貴子