人間は日光を浴びて覚醒し、夜暗くなると眠くなる睡眠リズムをもっています。この覚醒・睡眠リズムには、「メラトニン」というホルモンが関係しています。

「睡眠ホルモン」メラトニン

メラトニンは、松果体(しょうかたい)という脳内の内分泌器で生合成されるホルモンです。明るい光によってメラトニンの分泌は抑制されるため、日中は分泌量が低く、夜暗くなってくると分泌量は十数倍まで増加します。夜に眠くなるのはこのためで、メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。

しかし、夜でも照明が明るかったり、スマホ、パソコン、タブレットなどの強い照明を浴びたりしていると、メラトニン分泌量は抑制されます。この結果、体内時計に働きかけることができず、覚醒と睡眠のリズムをコントロールする体内時計が狂い、眠気が覚めたり、眠りが浅いなどの睡眠障害の原因になります。

現在は、SNSやゲームアプリでタブレット、スマートフォンの使用は生活から切っても切り離せませんが、上手に付き合うことが、自分の体の成長や競技のコンディション作りには欠かせません。

質の良い睡眠をとるために

質の良い睡眠をとるために、次のことを意識しましょう。

(1)起床時間、就寝時間時間を習慣化させる
 生活リズムが乱れないよう起床時間を決める
 朝起きたら日光を浴びて体を起こす

(2)就寝前の照明、スマートフォン、テレビ、タブレットなどの明るさをコントロールする
 スマートフォンやタブレットの使用は就寝2時間前ぐらいまで
 ベッドや布団には持ち込まず。眠る直前まで見ることがないようにする

(3)部屋の照明は間接照明や暗くする
 リラックスして眠れる状態を作る

メラトニンの分泌を増やす食べ物

メラトニンの分泌を増やすには、食事からのアプローチも大切です。メラトニンは赤身の魚や肉類、大豆製品、乳製品などに多く含まれています。

また、メラトニンのもととなる神経伝達物質は、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンです。セロトニンの原料は必須アミノ酸の「トリプトファン」ですので、トリプトファンの摂取を増やすと、セロトニンとメラトニンの増加も期待できます。

今回はトリプトファンを多く含む大豆製品の厚揚げ、チーズを使った「厚揚げ明太チーズ焼き」を紹介します。トリプトファンはアミノ酸ですので、肉類、大豆製品、乳製品などタンパク質が豊富な食材に含まれています。

日中に分泌されたセロトニンは、夜になるとメラトニンに切り替わる特性があるので、日中にしっかりセロトニンを作るためにも、朝食にトリプトファン(タンパク質)の豊富なメニューをとると良いでしょう。

管理栄養士・舘川美貴子