「ホエイプロテインにも色々、種類があるんですね」

高校生にプロテインの話をすると、なぜか食事のこと以上に熱いまなざしを受けることがあります。興味が沸いてプロテインを調べていくと、ホエイプロテインにも精製によって種類があることに気づき、色々な質問が飛んできます。

プロテインにはホエイ、カゼイン、ソイの3種類があると、以前のコラムでお話ししましたが、ホエイプロテインは製法別に次の3つに分けられます。

ホエイプロテインコンセントレート(WPC)
ホエイプロテインアイソレート(WPI)
加水分解ホエイプロテイン(WPH)

パッケージや商品説明文に書いてあるのを見たことがあるかもしれませんが、どういったものか理解していたでしょうか。それぞれ説明していきましょう。

ホエイプロテインコンセントレート(WPC)

ホエイプロテインコンセントレートは「濃縮乳清タンパク質」とも呼ばれています。原料の乳清(ホエイ)を濃縮膜処理法という方法でろ過した上で、液体を濃縮して作られています。

タンパク質含有量は約70%。乳清に含まれるミネラル・ビタミンを多く残せるメリットがあります。市販されているホエイプロテインの多くがこの製法です。

牛乳を飲んでも特に腹痛や下痢のない方向けで、タンパク質不足の解消やアスリートの筋トレ後などに使われています。また、タンパク質だけでなく、ビタミン、ミネラル、炭水化物、脂質も一緒に摂ることができ、比較的購入しやすい価格です。

ホエイプロテインアイソレート(WPI)

ホエイプロテインアイソレートは「分離乳清タンパク質」とも呼ばれています。WPC製法で作ったタンパク質をイオン交換法という方法で分離させることで、タンパク質以外の成分をほとんど除去できるため、タンパク質の含有量は85~90%となっています。

脂質は低くなるのでエネルギーも低くなり、吸収が早いのが特徴です。ただし、多くの製造工程を要するため、価格はWPCよりも高くなる傾向があります。

牛乳を飲むとおなかを壊しやすい方、しっかりとウエイトトレーニングしている方、予算的に余裕がある方、減量中の方、プロテインにおいてはタンパク質以外の余計なものを摂取したくない方に向いています。

加水分解ホエイプロテイン(WPH)

加水分解ホエイプロテインは、「加水分解乳清タンパク質」「加水分解ペプチド」とも呼ばれています。酵素によってWPIのタンパク成分を一部、より微細なペプチドとアミノ酸に分解したものです。

WPHのプロテインはアミノ酸に近い大きさになっているため、ホエイプロテインの中で最も消化吸収に優れています。タンパク質の含有量も約95%と最も多く、価格も高価である傾向があります。

このようにホエイプロテインは生成方法により、タンパク質の含有量や価格など種類が分かれています。闇雲に「プロテインを摂る」のではなく、どんな目的で、何が自分に必要なのかを考えて選択しましょう。

プロテインは魔法の薬や食材ではない

ただ、プロテインは魔法の薬や食材ではありません。3度の食事に補食、トレーニング、睡眠や規則正しい生活といった基本があってこそ、生かせるものです。安易に考えず、しっかりと自分を見直してから、そもそもプロテインが必要なのかを考えてみましょう。

今回は、ホエイプロテインとカゼインプロテインの両方を含む牛乳を使った「ミルクぜんざい」を紹介します。ぜんざいに牛乳を入れることで、コクが出てまろやかな味になり、手軽な補食にぴったりです。

お正月に食べたお餅は余っていませんか。そろそろお雑煮や定番の焼き餅に飽きたと思ったら、ちょっと変わったぜんざいを楽しんでください。

管理栄養士・舘川美貴子