もうすぐお正月ですね。1年の無事を祈り、お正月に食べる伝統的な日本料理がお雑煮です。餅の形やだし、具の種類にいたるまで、地方や家庭ごとに特徴があるとも言われています。

 雑煮の歴史をひも解くと、室町時代にはすでに食されていたようです。武士の宴会では、必ず初めに酒の肴として、縁起の良い料理として振る舞われていました。この習わしをもとに、1年の始まりである元日に雑煮を食べるようになったと伝えられています。

 餅は、関西地方で丸餅、関東では角餅を使う傾向があります。汁の味付けは、関西地方は白みそ仕立て、東日本と福井、近畿を除く西日本ではしょうゆ仕立てが多いようです。出雲地方や能登半島の一部などでは小豆汁のお雑煮を食す地域もあります。具もそれぞれの土地の物が入っており、大根、ニンジン、ゴボウ、鶏肉や魚などさまざまです。

小食の選手も食べやすい

 私の住む富山県では、餅は角餅、だしはしょうゆ仕立てが多く、具は鶏肉、練り製品、大根、ニンジンのほか、海沿いの地方では魚を入れるようです。氷見市ではブリの切り身が入っているといいます。

 我が家では写真の通り、カツオ、昆布、エビでだしをとり、鶏肉、エビ、大根、ニンジンが入るシンプルな雑煮になっています。

 このお雑煮は、練習や試合前に適した食事です。餅はエネルギーの素である糖質が多く含まれており、練習や試合の補食としても、非常に適しています。

 日本食品標準成分表2015年版(七訂)によると、餅100gあたりのエネルギーは235kcal、切り餅1個(50g)のエネルギーは118kcal。ご飯に当てはめると、140g程度(茶碗1膳程度)になります。

 中学生、高校生で、米1合(約150g、ご飯にすると約350g)を食べるのが苦しい選手でも、餅3、4切れはあっさりと食べられるかもしれませんね。また、だしのよい香りにそそられて、食欲も湧くことでしょう。

 1人暮らしでだしをとるのが難しい場合は、麺つゆや昆布だしを使用すると、簡単にだしを作ることができます。みそ仕立てにしてみるのもよいでしょう。

 前回のコラム「調理時間がなくてもすぐに食べられる、自炊する選手が常備すると良い食材」で、常備しておくとよいものをお伝えしましたが、お餅も常備しておくとすぐに、雑煮や鍋、みそ汁に加えることができ、糖質をとりたい時にはとても便利です。

 勝負めしがお雑煮の選手もいますし、試合前には必ず雑煮を食べるという選手もいます。

【管理栄養士・舘川美貴子】