皆さんは意識して、食物繊維やミネラルを摂取しているでしょうか。

令和4年「国民健康・栄養調査」の結果では、成長期に必要なカルシウム、鉄、マグネシウムなどが、幅広い年齢層において食事摂取基準の推奨量よりも摂取量が少ないことがわかりました。中でも、鉄は推奨量を大幅に下回る結果でした。また、免疫調節の要でもある食物繊維も、一部の年代を除いて少ない傾向でした。

これらのミネラルや食物繊維は、成長に必要な栄養素にとどまらず、アレルギー症状の緩和にも関連する栄養素でもあります。

海外の報告では、微量栄養素の欠乏はアトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎などのアレルギー疾患小児に見られるとのこと。特に、鉄、亜鉛、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEが発症リスクや症状の度合いに関与している可能性があると報告されています。

近年、腸内環境とアレルギー疾患の関連について、国内外から多数の研究報告が発表されています。食物繊維の摂取量を増やす必要がある理由としては、食物繊維が善玉菌のエサとなり、アレルギー症状を誘発する過剰な免疫反応を抑える作用があるためです。

手軽に時短、雑穀を白米と一緒に炊飯

しかし、毎日忙しく過ごす中で、これらの微量栄養素を効率良く摂取するために、食材を探してメニューを考えることは大変です。手軽な時短メニューとして、雑穀を白米と一緒に炊飯することをお勧めします。

雑穀には、白米よりも多くのミネラルや食物繊維が含まれています。「白米に混ぜて炊くだけ」として売られている雑穀米を、白米1合に対し、大さじ1杯程度を混ぜて炊くだけで、ビタミンB群、鉄、マグネシウム、亜鉛、食物繊維などを補給できます。これらの栄養素は、エネルギーの代謝を助け、免疫機能の強化、心血管系の健康維持など、体の様々な健康維持に欠かせない役割を果たします。

具体的に言うと、鉄やカリウムなどのミネラルは、皮膚や骨などを構成する細胞の生まれ変わりをサポートします。マグネシウムはカルシウムの作用と深く関わりながら筋収縮を制御したり、体内に多く存在する酵素の働きや、ミネラルバランスを調整したりします。亜鉛は代謝や免疫の機能をサポートしていきます。食物繊維は便秘解消効果のある、不溶性食物繊維です。

今回は、そんな雑穀の一種、ホワイトソルガム(たかきび)を使った「ホワイトソルガム入りカレードリア風」を紹介します。

ホワイトソルガムを白米と一緒に炊飯して、ミネラル&食物繊維摂取も底上げを図っています。粉末のホワイトソルガムの食物繊維は、白米の約4倍、鉄分は約19倍も含まれ、手軽に繊維やミネラル強化につながる穀物です。

食事での栄養補給は、薬ではないため、すぐに体の変化を感じるものではありません。しかし、急激な体の変化を感じることはなくても、継続して摂取することで、少しずつ望ましい体のシステムに導きます。

例えば、筋肉を動かす神経伝達に必要なミネラルを過不足なく摂取し続けることで、パフォーマンスアップにつながっていきます。ただし、ミネラルは多く摂取し続けると過剰症が出てくることもあるため、サプリメント等を利用している方は適量を取り入れるようにしましょう。

腸内環境改善には食事のみならず、生活リズムやストレス解消も大切な要素になります。ストレスは腸内環境を乱す要因の1つでもありますので、適度にストレスを発散し、入浴で体を温め、朝は腸が動きやすいため早起きを心がけましょう。食事内容と生活を見直し、アレルギー症状が緩和しやすい体作りをしていきましょう。

参考文献
・Ping Zhang;The Role of Diet and Nutrition in Allergic Diseases. Nutrients. 15(17):3683,2023
・Diego G Peroni, Karin Hufnagl ; Lack of iron, zinc, and vitamins as a contributor to the etiology of atopic diseases. Front Nutr. 9:1032481,2023

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子