前回のコラム「大豆アレルギーになったら「豆」はどこまで除去したらいいのか」では、豆の分類について紹介しました。豆と同様に多い質問に、小麦アレルギーの人による「麦」に関するものがあります。

「麦茶は、除去した方が良いか」
「パスタ原料のデュラム小麦は除去した方が良いか」
「オートミールは小麦からできているのか」

小麦アレルギーの原因物質は主に「グルテン」というタンパク質ですが、「麦」と名のつくものすべてに関して敏感になる気持ちはわかります。今回は、「麦」に関するよくある質問を取り上げ、説明していきます。

Q、小麦と大麦は何が違うのですか。

A、小麦と大麦の違いは大きさの大小ではなく、タンパク質の構成が異なります。

・小麦=楕円の穂でタンパク質の一種で独特の粘りである「グルテン」が生成される。
・大麦=太い円柱形の穂でグルテンは生成されない。ビールやウイスキーの原料。

小麦アレルギーの方でも大麦を食べられることがあります。

Q、麦茶(大麦)は小麦アレルギーでも飲めますか。

A、麦茶は焙煎した大麦を煮出して飲料にしたもので、タンパク質量が少ないため、小麦アレルギーでも飲めることがあります。しかし、最終的な判断は主治医に確認してください。

Q、お麩も除去した方がいいですか。

A、お麩は小麦グルテンそのものですので、除去が必要な食品です。小麦を原料とする食品には、パン、パン粉、うどん、パスタ、餃子の皮、小麦を含む加工食品などがありますが、お麩は小麦が原料であることを忘れられがちな食品でもあるので注意してください。

(左上から時計回りに)大麦、小麦、ライ麦、ハト麦
(左上から時計回りに)大麦、小麦、ライ麦、ハト麦

Q、押し麦、ライ麦は食べられますか。

A、押し麦は大麦を原料としています。大麦には粘りの強い「もち性」と粘りのない「うるち性」があり、外皮をむいたうるち性の大麦を平たくつぶし、加工したものが押し麦。一方、もち性の大麦を加工したものを「もち麦」といいます。

大麦にはグルテンがありませんが、よく似たタンパク質があります。また、小麦より食物繊維が豊富なライ麦にもグルテンを形成するタンパク質がほとんど含まれていませんが、一部の人にはアレルギー反応が出ることがあります。食べられるかどうかは医師に確認しましょう。

Q、ハト麦、オーツ麦は食べられますか。

ハト麦はイネ科のハト麦という植物から作られるもので、名前に「麦」が入っていますが、大麦や小麦とは見た目が異なり、どちらかと言えば、トウモロコシに似た形状をしています。小麦に比べてアレルギーが起こる可能性が低いといわれていますが、ゼロではありません。

また、オートミールの原料であるオーツ麦(えん麦)にもグルテンは含まれていないため、小麦アレルギーの人も食べられることが多いものですが、食べる前には医師に確認しましょう。

なお、小麦以外は食品表示基準による表示義務がありません。大麦などで症状が出る人はメーカーに原材料を詳しく確認しておきましょう。

今回紹介するレシピは、夏バテ対策のスイーツ「甘酒の抹茶プリン」です。ポリフェノール豊富な抹茶で抗酸化力の底上げを図ります。

甘酒は「飲む点滴」と言われるほど、栄養豊かです。食欲や消化力が落ちやすい夏場は、特におやつからも栄養が摂れるように意識したいものです。

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子