以前のコラム「地球温暖化がアレルギー疾患に影響、私たちが日常生活でできること」で、地球温暖化によってアレルギー症状が出やすくなっていることを紹介しました。これまでの研究報告でも、地球温暖化や大気汚染とアレルギー疾患、特にぜんそく、アトピー性皮膚炎、鼻炎などの発症リスクが高くなるといったものは多く発表されています。
一方で、食物アレルギーとの関係についての報告は数が少なかったものの、このたび、中国で「食物アレルギーと大気汚染の関連」についての研究報告がありましたので、簡単に紹介します。
屋内外の空気汚染暴露とアレルギー疾患の関係性
中国湖南省長沙市における3~6歳の児童2598人を対象に、屋内(新しい家具、カビと湿気、窓の結露など)と屋外の空気汚染暴露とアレルギー疾患の関係性についての調査です。屋外の空気汚染指標は、二酸化窒素(NO₂)、ほこりや粉じんなどの粒子状物質(PM10)の汚染度で評価をしました。
結果として、14.9%の児童が食物アレルギーを発症していました。生まれる前のカビや湿気の影響、生まれた後の窓の結露、新しい家具からの化学物質暴露による影響、出生前後関係なく交通機関の汚染物質が、食物アレルギー発症との関連性があると報告しています。
これらのことから、こまめな掃除や換気は、ぜんそくなどのアレルギー呼吸器疾患、アトピー性皮膚炎などのアレルギー皮膚疾患対策だけではなく、食物アレルギーの観点からも大切だということが言えます。また、食事内容もミネラルやビタミンを日頃から十分にとって、有害物質を排出しやすい体に整えておくことも重要であると考えます。
参考文献:Xin Zhanga, Chan Lu, et al.: Early-life exposure to air pollution associated with food allergy in children: Implications for ‘one allergy’ concept. Environmental Research,2023