食べたものにより発症する食物アレルギーは、大部分が食物 に含まれるタンパク質が原因で生じると言われています。大人になってから発症することもあり、そのアレルゲンは小麦、カニやエビなどの甲殻類、魚類 果物などが上位を占め、 ピーナッツ、そば、ゴマなども挙げられます。ここではそばアレルギーについて説明します。

大人になってからそばアレルギーを発症することも
大人になってからそばアレルギーを発症することも

そばの実は、米や小麦と比べてもタンパク質、ビタミンB類、などが多く含まれ、栄養価が高いことから、日本以外の国々でも広く栽培されています。そばアレルギーは、そういったそばをよく利用する国や地域において、古くから患者の存在が知られていました。

極微量で重篤な症状がでることも

日本でのそばアレルギーは人数こそ多くありませんが、突然発症することもあり、他の食物アレルギーに比べて極微量で重篤な症状が出ることでも注意が必要です。食べた直後に呼吸器症状や粘膜症状、じんましんなどの皮膚症状、消化器症状などが併発し、命に関わるショック状態を伴うアナフィラキシーショックを引き起こすこともまれではありません。

ほとんどの人が、ごく微量の摂取やそばと共通の釜でゆでられたうどんにも強く反応します。ゆで汁やその蒸気、そば粉の粉塵を吸い込むだけでも反応してしまいます。来客に食物アレルギーの人がいる場合、そばをゆでる際は事前に確認してから行いましょう。

そばアレルギーの人が食べられない物
・日本そば(ゆで麺、乾麺、カップ麺)
・冷麺
・そば粉
・そば焼酎
・そば茶
・そば粉を使った加工食品(原材料表示を確認しましょう)

そばアレルギーの人はそばのゆで汁やその蒸気、そば粉の粉塵を吸い込むだけでもアレルギー反応が生じます
そばアレルギーの人はそばのゆで汁やその蒸気、そば粉の粉塵を吸い込むだけでもアレルギー反応が生じます

調味料や加工品に含まれることも

そばアレルギーの原因物質は、そば粉に多く含まれるそばアレルゲンと呼ばれるタンパク質です。低アレルゲンのそばの開発も研究されていますが、今のところ、そばアレルギーの人はそばを含むものを生活から除去するしか方法はありません。

そば粉は、コショウなどの調味料の風味付けに使用されていることもあります。中華料理やイタリア料理、フランス料理でも使われていることがあるため、外食先で自己判断せず、そばが使われていないことを確認してから注文するようにしましょう。

また、そば打ち体験や実演販売を行っている周囲には、空気中にそば粉が舞っている恐れがあります。そば殻枕の粉塵でもぜんそく発作などを起こす人が多いため、本人だけでなく同居家族も使わないようにし、宿泊をともなう外出の際は、宿泊先に事前に確認しましょう。

そば打ちの実演を行っている周囲には、そば粉が舞っている可能性があるので注意が必要です
そば打ちの実演を行っている周囲には、そば粉が舞っている可能性があるので注意が必要です

輸入製品は原材料に気を付けて

最近では、主に諸外国で小麦アレルギー患者向けのグルテンフリー代替食品素材として、そばがピザ、パスタなどにも利用されるようになっています。ロシアや東欧では、カーシャ(おかゆ)のように粒食で提供されることもあります。

そばアレルギーの人は、輸入食品の利用や海外旅行での食事においても気を配る必要があると言えます。その一方で、少し前には外国人観光客にそばアレルギーの認知を拡大させるため、そば湯を塗って皮膚に貼るとアレルギー反応が分かるという「ジャパニーズタトゥー風そばアレルギー・チェッカー」も話題になりました。

乳児期に発症した卵や乳製品のアレルギーは年齢とともに症状が軽くなることが多いものの、学童期以降に発症することの多いそばアレルギーは今のところ、症状が軽くならないことが多いのが現状です。ただし、そばはタデ科に属する植物のため、そばアレルギーの人が小麦や米などイネ科の穀物にも交差反応することはありません。年末の年越しそばは食べられなくても、麺をうどんや米麺に変えて、年越しそばの雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。

監修=管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子