近年、数多くのスポーツ選手が「食事も重要である」と認識し、栄養も勉強して、食事改善をしている様子が、様々なメディアで取り上げられるようになりました。アスリート以外でも、芸能人らがダイエットに取り組んでいる内容を、色々な媒体で目にする機会も増えました。

一方で、情報を少しだけ聞いたり読んだりして、取り入れている人も多いと思われます。その結果、成長期の子どもにとって望ましい食事バランスどころか、アンバランスになってしまっていることもあるようです。

先日参加した学会で、「アンバランスな食事がどのような影響を与えているか」といった研究発表がありました。その一部を紹介します。

鉄などのミネラル、ビタミン不足

高校生と大学生2400名を対象にした調査において、1日2回以上、主食・主菜・副菜が揃う頻度が高い学生は摂取する食品の種類が増え、さらに精神健康状態が高い傾向になっているという報告がありました。栄養サポートを受けていない強豪校の運動部学生における調査では、カロリーは満たされていても、強度な運動をしている学生こそ十分な摂取が望まれる鉄、カルシウム、ビタミンB1が基準値を下回るという発表もありました。

また、運動部に関係なく、一般の女子中高生に対する調査では、初経発来1~2年後から鉄欠乏の生徒が増えているという報告もありました。運動習慣のある皆さんは特に、激しい運動により鉄が損失する機会が多いので、鉄を多く含む食材を積極的に、意識して摂取することが必要です。上記のことから分かるように、運動量の多い部活動に所属する選手は、筋肉トレーニングに加え、食事内容にも十分に目を向けて欲しいと思います。

9月に入っても昼間に気温が高くなり、食事が進みにくい日もありませんか? 今回紹介するのは、鉄が多く含まれる牛肉を使用した「抗酸力たっぷり野菜のチャプチェ」です。春雨を加えて、するすると食べやすくしています。

秋花粉に悩む方はβカロテン強化

花粉は春の時期だけではありません。秋花粉で体調を崩し始めている方もいると思います。秋の花粉で調子が思わしくない時は、いつもよりもβカロテンや食物繊維を豊富に含む野菜を十分にとりましょう。

今回は粘膜を強化し、免疫力を底上げするβカロテンが豊富なニラ、ニンジンを入れています。タンパク質を強化する場合には、牛肉の量を増やしましょう。

また、時間のない時は、市販の「焼き肉のたれ」を使用することで時間短縮につながります。ただし、市販品には小麦や大豆が含まれることがあるため、アレルギーの方の料理を作る際は、原材料や除去の制限をよく確認しましょう。

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子