食物アレルギーは他のアレルギー疾患と異なり、画一的な治療計画では対応できず、オーダーメイドの治療計画が必要となる疾患です。さらに、食物アレルギーの診療、栄養指導はものすごいスピードで進化し、数年前の知識や経験が時代遅れになることもあります。

その1つとして、以前は原因食物を除去するだけでしたが、今は、その患者にとって必要最小限の除去を行うことが一般的になってきました。

今回は小麦について取り上げてみます。平成23年の消費者庁の調査において、7~19歳の食物アレルギー患者の11%が「小麦」と、患者数が多いアレルギー物質です。

小麦アレルギーの方でも、小麦タンパク質がアミノ酸まで分解できている調味料(みそ、しょうゆ、酢など)は重症患者を除き、摂取できるようになってきました。焙煎した大麦を煮出した麦茶(大麦)、大麦、押し麦、ライ麦などについても、一部の患者を除き、摂取できることが明らかになってきています。

しかし、摂取できるか否かは医師の判断によるものです。自己判断では一歩間違えると、危険な状況に陥ることもあります。必ず医師に確認してから食事の幅を広げるようにしましょう。

必ず医師に確認してから

どの程度小麦製品が食べられるかは、食物経口負荷試験の結果で判断していきます。食物経口負荷試験が陰性だった場合は、下記のような食品を摂取することができるようになります。ただし、摂取できる食品、量を決定していくのは、栄養士ではなく、医師になりますので、献立を立てる際に不安な時は、主治医に必ず確認しましょう。

うどん2g~3g=食物負荷試験で摂取した食品を同量摂取することができる。調味料に小麦が含まれた食品を摂取できる。
うどん10g=小麦粉(薄力粉)小さじ1杯(例:唐揚げ2、3個)
うどん50g=小麦粉(薄力粉)大さじ2杯、食パン1/4枚(6枚切り)そうめん1/4束など、パン粉大さじ3杯

製造環境の確認も重要

また、小麦を完全除去する必要がある場合や5g以下の少量摂取のみ可能な時は、製造環境の確認も非常に重要です。ふるい操作をすると、小麦粉が周囲5mに飛散することが報告されています。調理する側も保護者も十分に注意しましょう。コンタミネーション(混入)の危険性が高く、リスクの高い患者の場合には、お弁当が望ましいケースもあります。

カルシウムがたっぷり補給できる「切り干し大根のソース炒め煮」

上記のことから、これまでは重度患者にも配慮し、しょうゆやソースはレシピの中に食物アレルギー対応と明記しておりましたが、今回紹介する「切り干し大根のソース炒め煮」はアレルギー対応ではないしょうゆとソースを使用しております。小麦アレルギーの方の調理をする際には、現在どこまで摂取ができるのか、必ず事前に確認してから材料を用意しましょう。

切り干し大根のソース炒め煮」では、カルシウムがたっぷり補給できる切り干し大根(乾燥重量)を使っています。30g分のカルシウムは、普通牛乳140mlに相当。予想以上にカルシウムが含まれていると思われるのではないでしょうか。

さらに、カルシウムを補う意味で桜エビも加えています。カルシウムが不足することで、骨がもろくなりやすくなり、疲労骨折にもつながります。飽きのこないよう、カルシウム補給のための様々なおかずを用意しておきましょう。

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子